整形外科と災害外科
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仙骨脆弱性骨折後に遅発性神経麻痺と膀胱直腸障害を来した1例
島田 佳宏片江 祐二近藤 秀臣鍋島 貴行小田 浩司松本 康二郎森 俊陽
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2020 年 69 巻 1 号 p. 200-204

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抄録

70歳,女性.【主訴】:右殿部痛,右下肢後面痛.【現病歴】重い荷物を抱えてから右殿部痛と右下肢後面痛が出現し,歩行困難となった.MRIで仙骨脆弱性骨折を認め,CTで仙骨はS3高位で後方凸変形を呈していた.また切迫性尿失禁があり,神経因性膀胱の診断で間欠的導尿管理となった.徒手筋力テストで右長母趾伸筋,右長母趾屈筋,右腓腹筋に筋力低下を認め,画像所見と合わせて右S3神経根障害と診断した.排尿障害が改善しないため,仙骨脆弱性骨折後遅発性麻痺と膀胱直腸障害と診断し,初診5週後に仙骨椎弓切除術施行した.術後14ヵ月で,疼痛と筋力低下は改善したが,排尿障害は残存し,尿道バルーン定期交換で排尿管理中である.【考察】仙骨脆弱性骨折後による遅発性麻痺の報告は稀であるが,排尿障害がある場合は早期に手術加療も念頭に置くべきである.

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© 2020 西日本整形・災害外科学会
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