整形外科と災害外科
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後頚部に発生した骨外性粘液型軟骨肉腫の1例
中島 帆奈美松田 光太郎平岡 弘二濱田 哲矢中田 路子大島 孝一山田 裕一小田 義直志波 直人
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2020 年 69 巻 1 号 p. 26-29

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抄録

骨外性粘液型軟骨肉腫(Extraskeletal myxoid chondrosarcoma; EMC)は稀な疾患である.今回,後頚部に発生したEMCの1例を経験したので報告する.症例は64歳,女性.後頚部の4×3cmの腫瘤を主訴に当科を受診.発赤,局所熱感,疼痛は認めなかった.腫瘍はMRI T1強調画像で低信号,T2強調画像で高信号を示し,ガドリニウムにて造影された.切開生検を行い神経内分泌癌が疑われ,広範切除術を施行した.切除検体では神経内分泌癌や悪性軟部腫瘍が疑われたが,確定診断に至らなかった.専門施設にコンサルトし,EWSR1-NR4A3の融合遺伝子が検出され,EMC cellular variantの診断であった.術後1年で両側の多発肺転移を認め,術後2年の現在,転移巣に対して化学療法を行っている.EMCは緩徐に進行することが多いとされるが,本症例では術後早期に肺転移を認めた.また,組織像も典型的ではなく,診断に難渋した.本症例について若干の文献的考察を加えて報告する.

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© 2020 西日本整形・災害外科学会
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