整形外科と災害外科
Online ISSN : 1349-4333
Print ISSN : 0037-1033
ISSN-L : 0037-1033
上腕二頭筋遠位腱断裂の1例
古江 幸博後藤 剛川嶌 眞人田村 裕昭永芳 郁文本山 達男佐々木 聡明渡邉 裕介藤池 彰川嶌 眞之
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 69 巻 4 号 p. 721-724

詳細
抄録

上腕二頭筋遠位腱断裂に対して,長掌筋腱を用いた腱移植術にて加療した経験を報告する.30歳,男性.ボーリングをした際,ブチッと音がして肘痛が出現した.肘屈曲に力が入らず,力こぶの近位への移動を自覚し,近医受診後,当院紹介受診した.受傷後19日目の手術では,腱の引き下げが出来ずに,急遽,長掌筋腱による腱移植術を行った.術後は,6週間のギプス固定の後,可動域訓練を開始した.術後6ヵ月,可動域は正常,回外筋力にやや低下があるが,経過良好である.上腕二頭筋遠位腱断裂に対する,肘強屈曲位での縫着や腱移植術の成績は一般に良好である.今回の経験では,長掌筋腱移植術は良好な成績が得られたが,力学的な裏付けがなく,今後の力学的検討が必要と考える.

著者関連情報
© 2020 西日本整形・災害外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top