整形外科と災害外科
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全身性毛細血管漏出症候群による急性多発コンパートメント症候群を認めた1例
田中 宏毅井上 三四郎有田 卓史古川 寛大角 崇史内田 泰輔岩崎 元気菊池 直士阿久根 広宣
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2020 年 69 巻 4 号 p. 861-863

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抄録

51歳女性.左腰痛,両下腿痛,血尿のため体動困難となり,救急搬送された.両下腿と腰部に高度な浮腫と腫脹,激しい疼痛,水泡形成,著明な筋逸脱酵素の上昇,高カリウム血症を認め,左腰部,両下腿の急性コンパートメント症候群と診断した.緊急で腰部と両下腿に減張切開術を施行し,ICUで全身管理を行った.全身状態安定とともに四肢の浮腫は改善した.初診時に血圧低下,血液濃縮,低タンパク血症,心拍出量低下を認め,その他の多発コンパートメント症候群をきたし得る全身疾患が除外されたことより,原疾患として全身性毛細血管漏出症候群(SCLS)と診断した.SCLSは非常にまれな疾患であり,多発急性コンパートメント症候群を認めた場合,鑑別疾患の一つとして念頭に置く必要がある.

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© 2020 西日本整形・災害外科学会
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