整形外科と災害外科
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軟部組織欠損に対する新しいコラーゲン使用人工皮膚(真皮)OASISⓇによる治療経験
田邉 剛髙﨑 実永野 賢原 正光金海 光祐
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2021 年 70 巻 4 号 p. 716-720

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抄録

骨や腱などの血流が乏しい組織が露出した軟部組織欠損創に対して,新しいコラーゲン使用人工皮膚(真皮)OASIS®を使用して良好に治療することができた2症例を経験したので報告する.症例1:64歳男性.感染を伴う糖尿病性壊疽で足部壊死を認めたため,足趾切断及び壊死部と感染組織のデブリードマンを行ったところ,足背の腱・骨が露出した.包交時の洗浄と周期的持続灌流併用局所陰圧閉鎖療法などで感染を鎮静化させた後に,OASIS®で被覆固定し,良好な肉芽形成が得られたため,植皮を行い治癒した.症例2:64歳男性.下肢閉塞性動脈硬化症で左母趾先端の壊死を認め,血行再建後に当科でデブリードマンを行い,末節骨が露出した.骨露出部にOASIS®を被覆固定したところ,徐々に創治癒が得られた.OASIS®は生体内の細胞外マトリックスと同様の3次元構造を保持し,創傷治癒促進効果や抗炎症作用を有しているとされている.このため,骨や腱を露出した創でも良好な肉芽形成がなされたと考えられた.

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© 2021 西日本整形・災害外科学会
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