整形外科と災害外科
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両大腿骨転子下骨折を生じたFGF23関連骨軟化症の1例
鎌田 敬子小林 弘明萩 健太朗木戸 健司
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2021 年 70 巻 4 号 p. 760-764

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抄録

【要旨】両大腿骨転子下骨折を生じたFGF23関連骨軟化症を経験したので報告する.【症例】42歳,女性.身長151 cm,体重82 kg.既往歴は骨軟化症,左大腿骨頚部骨挫傷,肋骨骨折,高血圧であった.介護の仕事中に人を抱えてから右大腿痛を生じ,歩行困難となり当科受診.Xp・CT・MRIにて両大腿骨転子下骨折を認めた.またXpで両大腿骨に多発するLooser zoneを認め,血液検査ではP低値,BAP高値,血清FGF23高値を認め,FGF23関連骨軟化症と診断した.両大腿骨転子下骨折に対して全身麻酔下に髄内釘を用いて骨接合術を施行.術後活性化ビタミンD内服開始し,骨癒合傾向となった.【考察】FGF23関連骨軟化症にて微小骨折が石灰化障害にて修復されず,両大腿骨転子下骨折に至ったと考えられた.骨折を繰り返している症例については骨軟化症の既往を疑い,精査および治療介入が必要と考えられた.

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© 2021 西日本整形・災害外科学会
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