整形外科と災害外科
Online ISSN : 1349-4333
Print ISSN : 0037-1033
ISSN-L : 0037-1033
整形外科医は骨転移を主訴とした初診時原発不明がんをどのように治療し,どのようにして原発巣の診療科に引き継いでいるのか
井上 三四郎
著者情報
キーワード: がん, 骨転移, 骨修飾薬
ジャーナル フリー

2021 年 70 巻 4 号 p. 769-773

詳細
抄録

(目的)骨転移を主訴とし整形外科を受診した初診時原発不明がんについて,整形外科医で行われた治療の実際と転帰について調査すること.(対象と方法)過去約15年間に治療した52例(平均年齢72歳,男性28人女性24人)を対象とした.主訴に最も影響を与えている局所部位は,脊椎26例,大腿骨12例,上腕骨8例等であった.原発巣は,肺がん10例,前立腺がん・悪性リンパ腫各8例等であった.整形外科入院中に行われた治療と転帰について調査した.(結果)27人に29例(52%,27/52)の手術が行われた.放射線治療は,12人(23%,12/52)に,骨修飾薬は9人(17%,9/52)に行われた.27人(52%,27/52)は整形入院のまま治療を続けた.他院転院となった18人中15人は(83%,15/18)の治療方針はbest supportive careであった.中央値8カ月(0カ月~10年)のフォローで,生存群・死亡群は26人(50%,26/52)ずつであった.(考察)誰が主治医として初療にあたるべきか,誰が骨修飾薬を導入するべきかという問題について議論を深める必要がある.

著者関連情報
© 2021 西日本整形・災害外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top