整形外科と災害外科
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当科における大腿骨転子貫通骨折の治療成績
大隈 暁畠山 英嗣花田 修平岡田 宗大杉木 暖
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2022 年 71 巻 1 号 p. 109-111

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抄録

久留らは,通常の転子部骨折とは異なり,転子間を貫通するようかのような骨折線が存在する症例を報告し,大腿骨転子貫通骨折と呼称している.本骨折に対する当科での治療成績について検討した.当科で骨接合を施行した大腿骨転子部骨折680例の内9例(1.3%)に存在した.平均年齢は86歳.受傷は,低エネルギー4例,比較的高エネルギー5例であり,高齢者の低エネルギー外傷でも本骨折を認めた.全てフェモラルネイルを用いて骨接合を行った.1例に観血的整復を行ったが,8例は,小皮膚切開でエレバトリウムを挿入操作する事で整復できた.術後2週の平均sliding量は7.1mmで,当科における大腿骨転子部骨折の平均sliding量3.6mmより高値であった.9例中2例でカットアウトを生じた.骨癒合までに,12~14mmのslidingを3例で認めた.本骨折は,骨片に付着する筋の作用により,非常に不安定性が強く,フェモラルネイルでは,整復保持に限界がある事が示唆された.

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© 2022 西日本整形・災害外科学会
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