整形外科と災害外科
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大腿骨近位部骨折術後にデノスマブを投与し著明な低カルシウム血症を来した1例
川谷 洋右福田 雅俊
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2022 年 71 巻 1 号 p. 25-28

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抄録

【症例】87歳・女性.左大腿骨転子部骨折の術後にデノスマブを投与,アルファカルシドールを併用した.投与後6日に血清補正カルシウム(Ca)値は8.0mg/dLまで低下したが,2週で11.2まで上昇したためアルファカルシドールは中止とした.術後2ヶ月意識障害で搬送時,補正Ca値は7.0と著明に低下,intact PTH(i-PTH)400pg/mLと高値を認めた.二次性(腎性)副甲状腺機能亢進症と診断,アルファカルシドールを再開しCa製剤を開始した.Ca値は速やかに回復し,1ヶ月後にi-PTHは81まで低下した.【考察】本症例は副甲状腺機能亢進による骨代謝高回転がベースにあり,デノスマブ投与で骨吸収が急激に抑制されたため著明な低Ca血症を発症したと考えられた.本骨折を起こす高齢者は腎機能障害を有する割合が高く,デノスマブ投与前にi-PTH測定するなど対策が必要かもしれない.

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© 2022 西日本整形・災害外科学会
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