2022 年 71 巻 2 号 p. 258-260
人工膝関節置換術(以下,TKR)術後22年が経過して,脛骨コンポーネントの破損を認め,再置換術を行った1例を経験した.症例は91歳女性,誘因なく,右膝関節の疼痛と変形が生じ,当科を受診した.単純X線,CT検査でTKRの脛骨コンポーネントの破損を認めた.術中,ポリエチレンインサートは内側の摩耗が強く,脛骨コンポーネントは中央で破断していた.脛骨コンポーネントの内側にはBone ingrowthを認めず,内側のみ緩みが生じ破断したと考えられた.大腿骨コンポーネントには緩みは認めず,脛骨コンポーネントの再置換のみを行った.術後4週間,屈曲60度までの可動域訓練,平行棒内起立訓練を行い,術後4週以降,制限なく可動域訓練,歩行訓練を行った.術後2ヶ月で,可動域屈曲120度を獲得し独歩可能となった.