整形外科と災害外科
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転位のある肩甲骨下角骨折は翼状肩甲骨を生じる
渋田 祐太朗北村 歳男小笠原 正宣田中 光迫 教晃
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2022 年 71 巻 3 号 p. 390-393

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抄録

【はじめに】肩甲骨は複数の筋肉により微妙なバランスが維持された状態で胸郭上で機能している.肩甲骨のバランスの不全状態は脱臼や肩の痛みの原因になる.肩甲骨下角は逆三角形を呈した頂点部で小さい部位ではあるものの,複数筋肉が付着している.転位のある肩甲骨下角骨折は翼状肩甲を来たす状態があり,報告例も少なく,ピットホールと考え報告する.【症例】72歳男性.肩甲骨下角骨折に対し,筋縫合は行われず,骨片摘出のみ施行された.肩甲骨下角骨折は転位があったが,機能的に問題ないと考えられ,放置された.その後,術後8日にリハビリ目的に当院紹介となった.バストバンドと臥位訓練によるリハビリを行ったが,翼状肩甲と肩甲骨動作時の轢音を認めた.【結語】転位のある肩甲骨下角骨折は翼状肩甲を来すことがあり注意が必要である.

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© 2022 西日本整形・災害外科学会
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