整形外科と災害外科
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発達障害児に治療を行う際のひと工夫
永田 武大久嶋 史枝池邉 顕嗣朗
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2022 年 71 巻 4 号 p. 672-676

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抄録

発達障害と診断される児は増加傾向にある.彼らはその特性から外傷リスクの高さを指摘されるが,行動やコミュニケーションの障害により診療に難渋することがある.我々は彼らの特性に配慮した工夫を行う事で比較的スムーズに診療を行えており,どの医療機関でも対応可能なこの工夫について報告する.自閉スペクトラム症の児は意思疎通において抽象的なものへの理解の苦手さや特定の物へのこだわりがみられるが,段階的,具体的,視覚化されたものへの理解のしやすさがあり,診療では事前の予告や図などでの説明があると協力を得られやすい.また,注意欠如・多動症の児は好きなものへ過集中する傾向があるため,周りの情報量を減らし,それに集中できる環境を作ることでトラブルを減らせる.発達障害児にとって病院での診療は苦手なことだらけである.特性を理解し,対応する工夫を行うことは患者側と医療側それぞれのストレスを軽減させる手助けとなる.

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© 2022 西日本整形・災害外科学会
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