整形外科と災害外科
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小指末節骨に発生した転移性骨腫瘍の1例
岩崎 正大天辰 愛弓松野下 幸弘桑畑 健太郎城光寺 豪瀬戸山 傑嶋田 博文中村 雅洋
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2022 年 71 巻 4 号 p. 762-765

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抄録

【はじめに】悪性腫瘍の骨転移が手指や足趾の骨に生じることはまれである.今回,肺癌が小指末節骨へ転移した1例を経験したので報告する.【症例】71歳男性.約1か月前から誘因無く右手指末節の腫脹,疼痛を自覚.近医にて爪からの感染と診断され,抗生剤加療,抜爪するも改善見られず.単純X線で末節骨に境界明瞭な骨溶解像を認め,胸部CTにて肺癌疑われたため当院紹介となった.造影CT,MRI,PET-CTにて転移性骨腫瘍の所見を認め,小指PIP関節での離断術を行った.病理組織診断は気管支鏡検査での生検と同様に,扁平上皮癌の診断であった.【考察】手指や足趾への悪性腫瘍の転移は非常にまれであり,骨髄炎や蜂窩織炎,痛風,関節リウマチなどとの鑑別を要する.手指への転移性腫瘍の原発巣は肺癌が最も多い.四肢末梢に転移性骨腫瘍を認める場合は生命予後不良であることが多いため,診断や治療には注意が必要である.

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© 2022 西日本整形・災害外科学会
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