整形外科と災害外科
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人工膝関節全置換術後に生じた偽痛風発作の一例
福永 幹神谷 俊樹北堀 貴史池尻 洋史森 治樹
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2023 年 72 巻 1 号 p. 90-92

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抄録

【はじめに】人工膝関節全置換術後の急性関節炎は感染と偽痛風の鑑別に難渋しうる.今回我々は,人工膝関節全置換術後に生じた偽痛風発作の一例を経験したので報告する.【症例】84歳,女性.72歳時に両側変形性膝関節症に対して両側人工膝関節置換術を施行.ベット上から転落し,右膝の疼痛・腫脹が出現し,当院救急外来へ搬送.Xp上,明らかな骨傷なく,血液検査でWBCが26600/μL,CRPが16mg/dLと強い炎症所見を認めた.感染の可能性が考えられたが,関節液検査でピロリン酸カルシウム結晶が検出されたことから偽痛風発作と診断した.【考察】人工膝関節全置換術後の偽痛風発作は希であり,化膿性関節炎に類似した臨床像を呈するため感染と誤りやすい.しかし,術後偽痛風発作も念頭に置いて診断,治療に当たることで早期診断が可能であり,重要であると考えられた.

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© 2023 西日本整形・災害外科学会
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