整形外科と災害外科
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手根管開放術を契機に診断された多発性骨髄腫の1例
飯田 倫太郎廣田 高志村岡 邦秀田中 秀明山本 卓明
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2024 年 73 巻 1 号 p. 68-70

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抄録

【はじめに】手根管症候群(CTS)に対し鏡視下手根管開放術(ECTR)を行い,術中に採取した横手根靱帯の病理所見から最終的に多発性骨髄腫(MM)の診断に至った1例を経験したので報告する.【症例】約1年前からの両手のしびれを主訴に当科を受診,両側母指~環指橈側のしびれと知覚障害を認め,手根管入口部でのTinel徴候が両側陰性,Phalen test両側陽性,神経伝導速度検査では正中神経の運動神経終末潜時は右9.4ms,左9.1msと遅延を認め,両側CTSの診断でECTRを行った.術中に採取した横手根靱帯の病理所見はCongo-red染色が陽性でありアミロイド沈着を認めた.術後精査にて免疫グロブリン遊離L鎖κ/λ比の高値,尿中Bence-Jones蛋白を認めALアミロイドーシスが疑われた.血液内科にて骨髄穿刺が行われMMの診断に至った.【まとめ】手根管開放術を契機に診断されたMMの1例を経験した.手術における病理組織検査は全身性アミロイドーシスの早期診断に繋がることが示唆された.

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