2024 年 73 巻 4 号 p. 799-802
【はじめに】今回,Vancouver分類に基づいて当院における大腿骨ステム周囲骨折の治療成績を検討した.【対象】2018年1月~2023年6月に当院で大腿骨ステム周囲骨折の治療を行った9例で,受傷時のVancouver分類はtype B1:3例,type B2:6例,全例セメントレスステムTHAであった.治療はtype B1の3例に骨接合術を行い,type B2の2例に骨接合術,4例にステム再置換術を行った.検討項目として臨床評価は手術内容,免荷期間,先行手術から骨折までの期間,歩行能力,合併症とし,画像評価はステム沈下量,骨癒合の有無とした.【結果】全例で骨癒合が得られたが,type B1の1例に歩行能力の低下を認めた.合併症はtype B2で浅層感染1例,大転子骨折1例を認めた.type B2の骨接合を行った2例にステム沈下を認めた.【まとめ】当院での大腿骨ステム周囲骨折の治療成績は概ね良好であった.Vancouver分類type B2での骨接合術の適応は先行手術から骨折までの時期により考慮し得ると思われた.