日本消化器病学会雑誌
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Print ISSN : 0446-6586
今月のテーマ : 非アルコール性脂肪肝炎 (NASH) の現状
NASHの病態
竹井 謙之池嶋 健一佐藤 信紘
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2004 年 101 巻 11 号 p. 1194-1203

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抄録

非アルコール性脂肪肝炎 (NASH) はアルコール非摂取者において肥満, 糖尿病などを基礎疾患として発症する肝障害の概念であり, 脂肪沈着を呈する肝小葉に炎症性細胞浸潤, 肝細胞変性や線維化所見が合併し, 肝硬変まで進展しうる病態である. NASHの発症機序として, 脂肪肝を基盤とし, そこにさまざまな障害要因 (second hit) が加わることで脂肪肝炎発症に至るとするtwo hit theoryが提唱されている. Second hitとしては, 酸化ストレス, ミトコンドリア障害, サイトカインなど多くの因子が報告されているが, 未知の部分も多い. NASHは高率にインスリン抵抗性およびレプチン抵抗性をともない, インスリンおよびレプチン抵抗性を基盤としてNASHの病態が形成されることは, NASHがメタボリックシンドロームと不可分の関係にあることを示している.

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© 2004 (一財) 日本消化器病学会
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