日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
101 巻 , 11 号
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総説—第90回総会から—
  • 久道 茂
    原稿種別: その他
    専門分野: その他
    2004 年 101 巻 11 号 p. 1175-1182
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/05/13
    ジャーナル フリー
    エビデンス (科学的根拠) に基づく医療の重要性がいわれて久しい. 医学・医療は人間を対象とする科学であり実践である. 科学的根拠のない医療を人間に応用するのは倫理的とはいえない. 臨床医学に科学性を求めるとすれば, 臨床疫学の応用が必須である. 臨床疫学とは, 医学における科学的観察とその解釈のための方法論の一つであり, 臨床医学で出てきた問題に対して疫学的原理と方法を適用するものといわれている. しかし, 人間を対象とする臨床医学では, 「科学性を高めようとすると倫理性を低くすることが多く, 倫理性を高めれば科学性を損なう傾向が出てくる」. この矛盾に目を向け熟慮すべきである.
今月のテーマ : 非アルコール性脂肪肝炎 (NASH) の現状
  • 西原 利治, 小野 正文, 大西 三朗
    原稿種別: その他
    専門分野: その他
    2004 年 101 巻 11 号 p. 1183-1187
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/05/13
    ジャーナル フリー
    近年の食生活の欧米化にともなって肥満人口の増加が顕著となっている. ことに肥満症では高血圧や糖尿病, 高脂血症, 脂肪肝など種々の生活習慣病をともないやすく, 男性では内臓肥満を高頻度に生じる. かつて, 脂肪肝は良性可逆性の病態の最たるものであった. しかし, 内臓肥満・インスリン抵抗性, さらにメタボリックシンドロームという概念の出現とともに, 潜行性に脂肪肝からNASHを経て, 肝硬変から肝細胞癌にいたる病態の存在が知られるようになった. NASHは生活習慣病の常として, 多くの場合無症状であり, 早期発見には難渋する. 本稿では内臓肥満・インスリン抵抗性, メタボリックシンドロームをキーワードとしたNASH早期発見の試みについて紹介する.
  • 前山 史朗
    原稿種別: その他
    専門分野: その他
    2004 年 101 巻 11 号 p. 1188-1193
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/05/13
    ジャーナル フリー
    非アルコール性脂肪肝炎 (NASH) の病理組織像を概説した. 基本的な組織像は, 鍍銀像でアルコール性肝線維症 (ALF ; alcoholic liver fibrosis) の線維化パターンに中等度以上の大滴性の脂肪化が加わったものである. HE染色では実質の軽度から中等度までの壊死・炎症所見を認めるが, 限界板のpiecemeal necrosisの顕著な例は少ない. その他には, 肝細胞の風船様膨化, 核空胞化, 脂肪肉芽腫, 胞体内凝集傾向, が種々の程度で重複して観察され, 約30%にマロリー体 (MB) が出現する. アルコール性脂肪肝炎 (ASH) との比較では, 脂肪化の程度, 脂肪嚢, 核空胞化, 脂肪肉芽腫の出現頻度がNASHで高く, 一方, 類洞内好中球浸潤の程度はASHでより強く, MBの性状は, NASHで細く・ひも状で, ASHでは棍棒状・鹿角状でその周囲には好中球の遊走を高頻度にともなう.
  • 竹井 謙之, 池嶋 健一, 佐藤 信紘
    原稿種別: その他
    専門分野: その他
    2004 年 101 巻 11 号 p. 1194-1203
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/05/13
    ジャーナル フリー
    非アルコール性脂肪肝炎 (NASH) はアルコール非摂取者において肥満, 糖尿病などを基礎疾患として発症する肝障害の概念であり, 脂肪沈着を呈する肝小葉に炎症性細胞浸潤, 肝細胞変性や線維化所見が合併し, 肝硬変まで進展しうる病態である. NASHの発症機序として, 脂肪肝を基盤とし, そこにさまざまな障害要因 (second hit) が加わることで脂肪肝炎発症に至るとするtwo hit theoryが提唱されている. Second hitとしては, 酸化ストレス, ミトコンドリア障害, サイトカインなど多くの因子が報告されているが, 未知の部分も多い. NASHは高率にインスリン抵抗性およびレプチン抵抗性をともない, インスリンおよびレプチン抵抗性を基盤としてNASHの病態が形成されることは, NASHがメタボリックシンドロームと不可分の関係にあることを示している.
  • 中嶋 俊彰, 角田 圭雄, 光吉 博則, 岡上 武
    原稿種別: その他
    専門分野: その他
    2004 年 101 巻 11 号 p. 1204-1208
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/05/13
    ジャーナル フリー
    nonalcoholic steatohepatitis (NASH) は進行性の疾患であるので早期治療が望まれる. いわゆる生活習慣病の一種と考えられ, 食生活の見直しと適度の運動にて肥満を解消することが何よりも大切である. 血清フェリチン値が高い場合には, 鉄による酸化ストレスを軽減するために鉄を多く含む食事を避け, また積極的に瀉血が行われる. ウルソデオキシコール酸やグリチルリチン製剤は, グルタチオンを増やすなどして抗酸化ストレス作用を発揮するので, NASHにも有効である. 脂肪肝に適応のあるポリエンホスファチジルコリンも用いられる. 抗酸化剤やインスリン抵抗性改善薬, 肝移植の評価は定まっていない.
原著
  • 加藤 功大, 加藤 秀章, 平嶋 昇, 坂本 知行, 糠谷 治彦, 伊藤 清顕, 松永 誠冶郎, 近藤 啓, 田中 義人, 榊原 健治
    原稿種別: その他
    専門分野: その他
    2004 年 101 巻 11 号 p. 1209-1216
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/05/13
    ジャーナル フリー
    Helicobacter pylori (H. pylori ) は胃・十二指腸潰瘍, MALTリンパ腫, 胃癌との関連が認められている. 更に最近では消化器疾患のみならず特発性血小板減少性紫斑病 (ITP ; idiopathic thrombocytopenic purpura) との関連も示唆されている. 本研究ではITP患者におけるH. pylori 治療の有用性につき検討した. 対象はITP患者20例 (H. pylori 陽性患者17例, H. pylori 陰性患者3例) で, lansoprazole (LPZ) 60mg, amoxicillin (AMPC) 1500mg, clarithromycin (CAM) 400mgの7日間投与による除菌療法を施行した. また, 4例に対して1次除菌からCAMの代わりにmetronidazole (MNZ) を使用した. 除菌失敗例においてはLPZ 60mg, AMPC 1500mg, MNZ 750mgの7日間投与で再除菌を行い, H. pylori 陽性例は全例で除菌に成功した. 除菌後の血小板数の増加についてH. pylori 陽性例では17例中9例 (52.9%) で血小板数の増加を認めた. H. pylori 陰性例では, 3例中2例 (66.7%) で血小板数の増加を認めた. 血小板数の増加は, 除菌1カ月後から認められ, 年齢, 性別, 前治療歴, 罹患期間, 抗核抗体の有無, 除菌薬剤の相違, 内視鏡的な胃粘膜萎縮度, 除菌前の尿素呼気試験 (UBT) のΔ値との関連は認められなかった. ITP患者においてH. pylori 除菌治療は有用な治療であり, 今後積極的に行うべきであると考えられた. また, H. pylori 陰性と判定された2症においても血小板数の増加が認められ, 今後更に症例を蓄積し, 検討していく必要があると思われた.
症例報告
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