日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
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総説—第45回大会から—
薬物動態学の臨床的意義
—薬物血中濃度に影響する因子—
松本 直樹小林 真一
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2004 年 101 巻 7 号 p. 739-745

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抄録

薬物の効果そのものに興味があるのが内科医であろうが, 多くの場合, 血中濃度から薬効の現れ方は説明可能であり, 薬物動態学は有用な知識である. 中でも重要な知識として, 薬物血中濃度が定常状態となるまでの時間が薬物の消失半減期の4ないし5倍で一定であることや, 薬物動態を考える際の基礎知識として, 吸収・分布・代謝・排泄 (いわゆるADME) を挙げたい. 例えば吸収が阻害されれば最高血中濃度は期待よりも低値となるし, 代謝や排泄に障害があれば半減期が延長する. 薬物血中濃度測定, いわゆるTDMは有用な道具であることは広く知られているが, このような知識によってさらに安全で有効な薬物治療が可能となる.

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© 2004 (一財) 日本消化器病学会
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