2005 年 102 巻 12 号 p. 1541-1545
症例は66歳,男性.上部消化管内視鏡検査にて,門歯列より約35 cm Mt領域の食道後壁に,比較的境界明瞭な径約7 mm大の陥凹性病変を認めた.病変はやや発赤調で,陥凹内には顆粒状の隆起を認め,周囲には粘膜下腫瘍様の隆起性変化をともなっていた.陥凹中心部からの生検にて中分化型腺癌の診断を得,原発性食道腺癌0-IIc,深達度SM1-2と診断し,胸部食道亜全摘,頚部食道胃管吻合術を施行した.病変近傍の一部の食道固有腺導管上皮に化生,過形成性変化を認め,食道固有腺由来の食道腺癌と考えられた.