2005 年 102 巻 6 号 p. 736-740
症例は49歳,男性.主訴は胃部不快感.US,CT,EUS,ERCPなどの各種画像検査より主膵管および門脈に進展したsolid-pseudopapillary tumor(SPT),または嚢胞状変性をともなった充実性膵腫瘍を疑い手術を施行した.腫瘤の内部は蜂巣状で凝血塊を多量に含んだ多胞性部分と充実性部分が混在しており,病理学的に退形成性膵管癌(破骨細胞型巨細胞癌)と診断された.本腫瘍は全膵癌の0.3~0.5%とまれであり,門脈内および主膵管内への進展を示す例は更にまれであるため文献的考察を加え報告する.