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菊地 徹, 野口 哲也, 山並 秀章, 鈴木 雅貴, 鈴木 眞一, 加賀谷 浩文, 萱場 佳郎, 藤谷 恒明, 立野 紘雄, 今谷 晃, 関 ...
2005 年 102 巻 6 号 p.
687-692
発行日: 2005年
公開日: 2005/06/14
ジャーナル
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症例は48歳,男性.胃噴門部から胃体下部の小彎側に位置する2型隆起性病変で,内視鏡形態は胃悪性リンパ腫に類似したが,診断は得られなかった.胃全摘術を施行した.病理組織学的に著明な核異型をともなう形質細胞が腫瘍性に増殖していた.免疫組織化学ではCD38ならびにCD138陽性であり,免疫グロブリンはIgG/κ型単クローン性を示した.さらに,電子顕微鏡において,良く発達した粗面小胞体とcisternaeの拡張を認めた.本症例は,外科的胃切除により診断し得た原発性胃形質細胞腫であった.
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善田 貴裕, 村瀬 裕子, 谷口 桂三, 塩澤 邦久, 伊與部 尊和, 橋本 哲夫, 竹下 八洲男, 長東 秀一, 増永 高晴, 篠崎 公秀 ...
2005 年 102 巻 6 号 p.
693-698
発行日: 2005年
公開日: 2005/06/14
ジャーナル
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症例は51歳,男性.職場検診の上部消化管内視鏡検査にて十二指腸球部に径8 mm大,山田III型の隆起病変を指摘された.免疫組織染色を含めた病理学検査,血清ガストリン値の高値,セクレチン負荷試験などよりガストリノーマと診断され,膵頭十二指腸切除術が施行された.病変は単発性で十二指腸に限局したものであった.本例はZollinger-Ellison症候群の症状を欠いた,無症候性の十二指腸ガストリノーマの存在を示すものであった.
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小室 理, 村上 重人, 小林 剛, 木島 洋征, 古島 寛之, 坂部 俊一, 小野田 泰, 高木 一郎, 福永 眞治, 戸田 剛太郎
2005 年 102 巻 6 号 p.
699-705
発行日: 2005年
公開日: 2005/06/14
ジャーナル
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症例は69歳,男性.イレウスの精査目的にて入院.偽性腸閉塞症と診断されたが原因不明であった.その後,多発性骨髄腫(MM)と判明しイレウスの原因として消化管アミロイドーシスを疑ったが確診に至らなかった.MMに対して化学療法を行ったが奏功せず死亡した.剖検にてAL型全身性アミロイドーシスと判明.消化管へのアミロイド沈着は固有筋層に偏在していた.消化管壁へのアミロイド沈着の局在はアミロイド蛋白の種類により異なり,その診断に際しては注意する必要がある.
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澤村 典子, 石黒 陽, 山形 和史, 川口 章吾, 吉村 徹郎, 三上 達也, 佐々木 賀広, 福田 眞作, 棟方 昭博
2005 年 102 巻 6 号 p.
706-711
発行日: 2005年
公開日: 2005/06/14
ジャーナル
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症例は50歳,女性.平成5年より多発性筋炎(PM)で近医に通院していた.平成14年末より腹部膨満感が出現.画像検査にて偽性腸閉塞症および腸管嚢腫様気腫(PCI)の所見がみられ,また,PMに強皮症を合併したoverlap症候群と診断した.高濃度酸素療法にてPCIの所見は消失したが,上部消化管造影検査で偽性腸閉塞症は残存していた.本症例のPCIは強皮症による腸管運動能の低下による偽性腸閉塞症が誘因のひとつであると推測された.
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佐久間 敦, 北 順二, 加藤 正人, 降籏 誠, 尾田 典隆, 岡田 としえ, 窪田 敬一, 真島 雄一, 飯島 誠, 寺野 彰, 大倉 ...
2005 年 102 巻 6 号 p.
712-717
発行日: 2005年
公開日: 2005/06/14
ジャーナル
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われわれは,肺癌術後のC型慢性肝炎患者に発生した肝原発悪性リンパ腫(primary hepatic lymphoma;PHL)の切除例を経験した.術前の画像所見からは確定診断に至らず,手術材料でdiffuse large B-cell lymphoma(DLBCL)と診断された.本邦肝切除35例の組織型を再評価したところ,DLBCLが16例,marginal zone B-cell lymphoma of mucosa-associated lymphoid tissue type(MALT lymphoma)が8例であった.本邦では欧米の報告に比しMALT型リンパ腫を含めた低悪性度B細胞リンパ腫が多いことが示唆された.C型肝炎ウイルス(hepatitis C virus;HCV)抗体測定開始後の25例中HCV抗体陽性は15例(60%)と従来の報告より高率で,HCVとPHLの間には強い相関があると考えられた.
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竹内 啓, 菅井 望, 関 英幸, 三浦 淳彦, 藤田 淳, 鈴木 潤一, 深澤 雄一郎
2005 年 102 巻 6 号 p.
718-722
発行日: 2005年
公開日: 2005/06/14
ジャーナル
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症例は58歳,男性.倦怠感を主訴に肝腫瘍を指摘され入院となった.腹部CTでは多発する腫瘍を認め,さらなる検査治療を考慮するも急激に全身状態が悪化し永眠された.剖検の結果は細胆管癌と診断された.細胆管癌は原因として幹細胞の癌化の可能性が考えられているため,一見肝細胞癌や胆管細胞癌に類似した特徴を持つ.今後,さらに概念を整理するため症例を蓄積する必要があり,示唆に富んだ1例と考えられるので報告する.
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肱岡 範, 佐藤 幸浩, 岩下 裕一, 犬童 裕成
2005 年 102 巻 6 号 p.
723-728
発行日: 2005年
公開日: 2005/06/14
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症例は熊本県在住の59歳男性.35年前から狩猟期に熊本県内の野生のシカ・イノシシを捕獲し,肉や内臓を生食している.口渇,筋肉痛を主訴に近医受診し黄疸および肝機能障害を指摘され紹介入院.IgMクラスのE型肝炎ウイルス抗体およびHEV-RNA陽性であり,E型急性肝炎と診断した.本症は海外渡航歴がなく特異な食習慣を有することから,zoonotic food-borne transmissionが疑われる1例として報告する.
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清水 健, 仲眞 美貴, 上間 恵理子, 仲地 紀茂, 仲本 学, 大見謝 秀巨, 内間 庸文, 平田 哲生, 外間 昭, 金城 渚, 金城 ...
2005 年 102 巻 6 号 p.
729-735
発行日: 2005年
公開日: 2005/06/14
ジャーナル
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症例は46歳,男性.アルコール性慢性膵炎増悪後に下血を認め入院となる.内視鏡検査では出血源は確認できず,CT検査で膵仮性嚢胞を認めた.入院中に再度腹痛と下血が出現し,出血シンチグラフィーにて仮性嚢胞内出血と胃穿通による消化管出血と診断し,膵体尾部切除,脾合併切除,胃部分切除術を施行した. 膵仮性嚢胞内出血は胃に穿通し消化管出血を生じることがあり,本邦では過去11年で16例の報告があった.
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井坂 利史, 水野 伸匡, 高橋 邦之, 澤木 明, 中村 常哉, 田近 正洋, 河合 宏紀, 今岡 大, 岡本 泰幸, 井上 宏之, 青木 ...
2005 年 102 巻 6 号 p.
736-740
発行日: 2005年
公開日: 2005/06/14
ジャーナル
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症例は49歳,男性.主訴は胃部不快感.US,CT,EUS,ERCPなどの各種画像検査より主膵管および門脈に進展したsolid-pseudopapillary tumor(SPT),または嚢胞状変性をともなった充実性膵腫瘍を疑い手術を施行した.腫瘤の内部は蜂巣状で凝血塊を多量に含んだ多胞性部分と充実性部分が混在しており,病理学的に退形成性膵管癌(破骨細胞型巨細胞癌)と診断された.本腫瘍は全膵癌の0.3~0.5%とまれであり,門脈内および主膵管内への進展を示す例は更にまれであるため文献的考察を加え報告する.
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