日本消化器病学会雑誌
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総説
硬化性胆管病変の診断と問題点
中沼 安二全 陽
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2006 年 103 巻 12 号 p. 1325-1332

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抄録

硬化性胆管炎はいくつかの病態で発生するが,その中で原発性硬化性胆管炎が代表的であり,これまで欧米を中心に研究されてきた.進行性であり,肝移植を除けば確立された治療法はない.最近,自己免疫性膵炎やIgG4に関連した硬化性胆管炎の存在がわが国から発信され,国際的にも注目されている.この硬化性胆管炎では,密なリンパ球,形質細胞の浸潤があり,特にIgG4陽性形質細胞の浸潤が高度で,ステロイド治療が著効する.さらに,臨床的に胆管癌と誤診され,不必要な外科的切除が行われた例もある.現在,これら硬化性胆管炎の鑑別診断が重要となりつつある.病理所見を中心に,硬化性胆管炎の診断と問題点について述べる.

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© 2006 (一財) 日本消化器病学会
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