日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
103 巻 , 12 号
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総説
  • 中沼 安二, 全 陽
    2006 年 103 巻 12 号 p. 1325-1332
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/06
    ジャーナル フリー
    硬化性胆管炎はいくつかの病態で発生するが,その中で原発性硬化性胆管炎が代表的であり,これまで欧米を中心に研究されてきた.進行性であり,肝移植を除けば確立された治療法はない.最近,自己免疫性膵炎やIgG4に関連した硬化性胆管炎の存在がわが国から発信され,国際的にも注目されている.この硬化性胆管炎では,密なリンパ球,形質細胞の浸潤があり,特にIgG4陽性形質細胞の浸潤が高度で,ステロイド治療が著効する.さらに,臨床的に胆管癌と誤診され,不必要な外科的切除が行われた例もある.現在,これら硬化性胆管炎の鑑別診断が重要となりつつある.病理所見を中心に,硬化性胆管炎の診断と問題点について述べる.
今月のテーマ:膵疾患における画像診断の進歩
  • 入江 裕之, 吉満 研吾, 石神 康生, 田嶋 強, 浅山 良樹, 平川 雅和, 牛島 泰宏, 本田 浩
    2006 年 103 巻 12 号 p. 1333-1338
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/06
    ジャーナル フリー
    膵疾患のMDCT診断を行うための必要な知識として,MDCTの特長,膵のダイナミックCT, 3次元画像の臨床的有用性について解説した.MDCTの特長は高時間分解能と高空間分解能にあり,それらを利用して得られるボリュームデータは臨床に役立つ3次元画像を提供する.膵のダイナミックCTは膵実質相,門脈相,遅延相の3相撮像が基本であり,適切な撮像開始時間を設定するためには造影剤の血行動態を理解しておくことが重要である.CTAは膵疾患の術前血管造影を不要にし,MPRは膵疾患の診断能を向上させた.さらに主膵管の全長を1画像で表示できるCPRは膵疾患のMDCT診断にはなくてはならない画像となっている.
  • 蒲田 敏文, 松井 修
    2006 年 103 巻 12 号 p. 1339-1346
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/06
    ジャーナル フリー
    膵疾患の画像診断において,MRIは空間分解能ではMDCTに劣る.しかし,MRIはその高い濃度分解能と組織性状診断能を有し,MRCPにより造影剤を使用することなく胆管膵管が描出できる特徴がある.T1強調像,T2強調像,MRCPの信号強度や造影ダイナミックMRIの濃染パターンから,液体成分(嚢胞),浮腫,出血,脂肪化,線維化,鉄沈着などの組織性状を正しく評価できるので,特に膵疾患の鑑別診断(嚢胞性か充実性か,炎症か腫瘍か,非腫瘍性病変など)や炎症の重症度の把握に有用である.また,このMRIの特徴を最大限に生かすような,撮像方法の工夫が求められる.
  • 村上 康二
    2006 年 103 巻 12 号 p. 1347-1354
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/06
    ジャーナル フリー
    膵疾患の診断には局所の評価が重要であるため,PETが登場しても画像診断の第1選択がCTとUS,次にMRIという診断手順は変わらない.一方PETはコントラスト優位型の画像診断法であり,全身検索が行える点で優れている.検査目的としては部位の特定できない再発や転移診断に特に有用性が高い.最近はPET/CTが登場したため,CTも同時に施行可能となった.進行膵癌が疑われる場合の全身検索,あるいは臨床的に再発が疑われる場合などは最初からPET/(造影)CTを施行するといった診断手順も今後検討の余地がある.PETはCTやMRIとは異なった生体情報をもたらす診断法であり,現在予後予測や悪性度診断,治療効果判定に有望視されている.
原著
  • 小金井 一隆, 木村 英明, 杉田 昭, 荒井 勝彦, 福島 恒男, 嶋田 紘
    2006 年 103 巻 12 号 p. 1355-1360
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/06
    ジャーナル フリー
    潰瘍性大腸炎に直腸(肛門)膣瘻を合併した5例の治療成績を検討した.全例が発症後5年以上経過した全大腸炎型,再燃緩解型で,4例に肛門周囲膿瘍,下部直腸狭窄などの病変があった.難治またはdysplasiaのため4例に大腸全摘,回腸嚢肛門管吻合術を行い,1例は保存的治療中である.瘻孔を含めて直腸を切除した1例と瘻孔部を残し肛門膣中隔を筋皮弁で再建した1例は膣瘻が完全に閉鎖し,瘻孔部を切除した1例は少量の分泌物を認めるのみで,著明に改善した.潰瘍性大腸炎に合併する直腸膣瘻は下部直腸,肛門に長期間強い炎症がある例に発症し,根治には大腸全摘術,回腸嚢肛門管あるいは肛門吻合術が必要と思われた.
症例報告
  • 川村 昌司, 杉山 幸一, 安倍 修, 北川 正基, 結城 豊彦, 増田 高行
    2006 年 103 巻 12 号 p. 1361-1365
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/06
    ジャーナル フリー
    症例は75歳男性.前医での内視鏡検査で胃角大彎に粘膜下腫瘍を指摘され,精査目的に当科紹介となった.EUSでは胃壁第3層内に低エコー腫瘤として描出され,治療をかねた診断目的に内視鏡的切除術を行った.腫瘍は病理組織学的に胃GISTと診断されたが,固有筋層の連続はみられず粘膜筋板との連続性が確認され,粘膜筋板由来の胃GISTと考えられた.粘膜筋板由来の胃GISTは過去に報告がなく貴重な症例と考えられた.
  • 奥平 圭輔, 川口 淳, 穂苅 量太, 成松 和幸, 東山 正明, 又木 紀和, 加藤 真吾, 高本 俊介, 都築 義和, 永尾 重昭, 伊 ...
    2006 年 103 巻 12 号 p. 1366-1371
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/06
    ジャーナル フリー
    症例は68歳女性.出血性胃潰瘍のため緊急入院.経過中白血球特に好酸球数,血清 IgE値,MPO-ANCA titerの上昇を認め,下肢知覚障害・喘息の既往歴と併せて考慮しChurg-Strauss症候群と診断した.ステロイド,シクロフォスファミドにより病状は寛解した.Churg-Strauss症候群はまれであるが,原因不明の消化管出血特にプロトンポンプ阻害剤抵抗性の胃潰瘍病変では考慮すべき疾患と考える.
  • 浅田 由樹, 神田 和亮, 小関 一幸, 田中 俊郎, 水田 陽平, 河野 茂
    2006 年 103 巻 12 号 p. 1372-1376
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/06
    ジャーナル フリー
    腸間膜脂肪織炎の2例を経験した.症例1は腸閉塞で発症.小腸間膜の肥厚,発赤を認め,線維性の索状物が回腸を締め付けていたため,索状物を切離し腸閉塞を解除した.症例2はCTと注腸造影像での特徴的な画像所見より,S状結腸間膜脂肪織炎と診断し,保存的治療で寛解を得た.腸間膜脂肪織炎の臨床経過は多彩であることを踏まえ,症例に応じた治療を選択しなければならない.
  • 角田 圭雄, 金政 和之, 福本 晃平, 加藤 菜穂, 今村 重義, 伊藤 義人, 岡上 武
    2006 年 103 巻 12 号 p. 1377-1383
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/06
    ジャーナル フリー
    症例は73歳,男性.発熱と肝機能障害の精査のため入院.種々の抗菌薬に抵抗性でCoxiella burneti II相菌に対する抗体価より急性Q熱と診断した.Minocyclineにて解熱するが胆道系酵素上昇が遷延した.経気管支鏡的肺生検および肝生検にて乾酪性肉芽腫を認め,培養で結核菌を検出した.粟粒結核と診断し抗結核薬の投与により改善した.急性Q熱を合併した粟粒結核の報告はこれまでになく,示唆に富む症例と考えられた.
  • 宮川 昌巳, 金政 秀俊, 仁丹 利行, 松本 匡史, 時田 和彦, 梶田 芳弘, 柳澤 昭夫, 中村 吉隆, 園山 輝久, 山岸 久一, ...
    2006 年 103 巻 12 号 p. 1384-1390
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/06
    ジャーナル フリー
    症例は69歳,男性.上腹部痛にて2004年2月に当院受診.血液検査でアミラーゼ,CA19-9の上昇,腹部超音波検査で主膵管拡張を認め精査加療入院となった.各種画像検査,内視鏡検査にて膵頭部に嚢胞性病変と,別の部位に膵管癌を疑う所見を認めた.膵管内乳頭粘液性腫瘍(以下IPMN)と膵管癌の合併と診断し,膵頭十二指腸切除術を施行したところ,膵頭部にIPMNの微小浸潤癌と尾側に通常型膵管癌を認めた.
  • 栗山 直久, 世古口 務, 三枝 庄太郎, 湯浅 浩行, 井戸 政佳, 伊藤 史人, 山碕 芳生
    2006 年 103 巻 12 号 p. 1391-1396
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/06
    ジャーナル フリー
    症例は59歳女性.胆嚢結石と膵尾部の嚢胞性病変のため近医より紹介.膵尾部に造影効果を受ける厚い被膜様の構造をともなう径3.5cm大の嚢胞性腫瘤を認め,内部に一部隔壁様構造をともなっていた.膵嚢胞性腫瘍の術前診断にて膵尾部部分切除術を施行.割面は周囲が暗赤色充実性で,内部に多房性嚢胞を認めた.病理組織学的には腫瘍充実部は脾臓組織で,嚢胞壁は重層扁平上皮で覆われたepithelial cystであった.
  • 松本 逸平, 上田 隆, 味木 徹夫, 安田 武生, 藤田 恒憲, 藤野 泰宏, 鈴木 康之, 黒田 嘉和
    2006 年 103 巻 12 号 p. 1397-1402
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/06
    ジャーナル フリー
    症例は55歳男性,常習飲酒家.2005年5月,意識消失にて近医へ救急搬送された.貧血を指摘され,上部消化管内視鏡検査を施行した所,十二指腸Vater乳頭から少量の出血を認めた.以後精査予定であったが第3病日,突然大量下血をきたし出血性ショックに陥った.腹部単純CTで膵の石灰化と膵頭部に径20mmの淡い高吸収域を認め,造影CTでは内部に強く造影される領域を認めた.膵仮性嚢胞内への仮性動脈瘤破裂と診断され,当院へ紹介となった.腹部血管造影検査では胃十二指腸動脈に径15mmの動脈瘤を認め,これに対し経カテーテル的動脈塞栓術を施行した.術後再出血や瘤の再発は認めず,術後9カ月目に施行したERCPでは主膵管と交通する動脈瘤塞栓部位に一致する仮性嚢胞を認めた.アルコール性慢性膵炎に合併した仮性動脈瘤が嚢胞内へ穿破し,hemosuccus pancreaticusを呈したものと診断した.
研究会報告
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