膵癌の予後は不良であり,早期診断,早期治療(切除)のみが治癒の期待できる方法である.最近,疫学的手法により糖尿病,慢性膵炎,膵管内乳頭粘液性腫瘍,膵嚢胞,膵癌の家族歴,遺伝性膵癌症候群などが膵癌のリスクファクターであることが明らかにされた.これら膵癌のリスクファクターに加え,膵酵素·腫瘍マーカーの異常,超音波検査における膵管拡張や嚢胞などを有する無症状例に対し,CTや超音波内視鏡を中心とした画像診断を実施し,さらに組織学的に確定診断し切除するなどの方法が膵癌の予後改善に有効な手段となるかもしれない.今後の分子生物学的手法を用いた新たな診断方法の開発にも期待が持たれる.