2008 年 105 巻 11 号 p. 1656-1665
症例1は71歳,男性.下血を主訴に来院.膵尾部に巨大な腫瘤を認め,膵癌の胃壁浸潤と診断.病理組織所見にて,退形成性膵癌·巨細胞型であった.症例2は61歳,女性.主訴は上腹部痛.膵体尾部に嚢胞の散在をともなう不整な腫瘤を認め,急速増大を示した.剖検にて退形成性膵癌·多形細胞型であった.両症例とも上皮系および間葉系マーカーが陽性を示し,E-cadherin染色にて染色性の低下を認め,退形成性膵癌の腫瘍細胞の多様性が示唆される結果であった.