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八上 佳和, 渡辺 憲治, 亀田 夏彦, 町田 浩久, 岡崎 博俊, 山上 博一, 斯波 将次, 藤原 靖弘, 押谷 伸英, 荒川 哲男
2008 年 105 巻 11 号 p.
1612-1618
発行日: 2008年
公開日: 2008/11/05
ジャーナル
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患者は31歳の男性.生来健康であったが,平成15年より下痢,下腿浮腫が出現した.血液検査にて低蛋白血症を認め,各種検査を行ったが原因は不明であった.さらなる精査のためダブルバルーン小腸内視鏡検査を施行し,小腸粘膜の生検病理組織から腸リンパ管拡張症と診断し得た.本例のように確定診断が困難な蛋白漏出性胃腸症による低蛋白血症例には,ダブルバルーン小腸内視鏡検査による積極的な病理組織学的検索が有用と考えられた.
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横山 顕礼, 大楽 尚弘, 草野 昌男, 越田 真介, 島田 憲宏, 山極 哲也, 小島 康弘, 小島 敏明, 池谷 伸一, 中山 晴夫, ...
2008 年 105 巻 11 号 p.
1619-1626
発行日: 2008年
公開日: 2008/11/05
ジャーナル
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症例1は52歳男性.小腸GIST,腹膜播種術後の腹膜播種再発例.症例2は66歳男性.小腸GIST,多発肝転移例.ともにメシル酸イマチニブ内服中,腹腔内出血をきたし緊急手術を要した.完全切除不能の初発·再発GISTであっても,腹腔内に露出したリスク分類が高リスク群のGISTでは,摘出可能な腫瘍を外科的切除後に,メシル酸イマチニブを投与することが今後の治療法の選択肢の1つとして検討すべきと考える.
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川野 紀子, 田代 充生, 田口 雅史, 木原 康之, 芳川 一郎, 宿輪 和孝, 山崎 雅弘, 久米 恵一郎, 大槻 眞
2008 年 105 巻 11 号 p.
1627-1633
発行日: 2008年
公開日: 2008/11/05
ジャーナル
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症例は73歳男性.排便時の肛門部痛を主訴に来院した.直腸Rb部に直径4cm大の一部黒色を呈する隆起性病変を認め,肝転移をともない,直腸肛門部悪性黒色腫(Stage IV)と診断された.dacarbazine,nimustine,cisplatin,tamoxifenによる多剤併用化学療法(DAC-Tam療法)に加えinterferon-βの局所投与を施行したところ,1コース終了時には疼痛の消失と原発巣の縮小,肝転移の消失を認めた.計6コース施行後に,直腸腫瘍からの出血コントロールに対する放射線治療を併用した.化学療法を合計8コース施行し,初回治療開始後24カ月経過した現在も生存中である.
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内山 哲之, 赤羽 武弘, 渡辺 みか, 北山 卓, 伊勢 秀雄
2008 年 105 巻 11 号 p.
1634-1639
発行日: 2008年
公開日: 2008/11/05
ジャーナル
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症例は72歳男性.以前に肝嚢胞を指摘されたが,特に経過観察されていなかった.今回嚢胞内出血と嚢胞壁に造影効果を有する腫瘤様病変が指摘され,精査の結果,肝嚢胞腺癌もしくは肝嚢胞腺腫の疑いを否定できないとして,肝右葉切除術を施行した.病理組織学的には,悪性所見はなく嚢胞内出血をともなう海綿状血管腫様の血管新生であると診断された.本症の術前診断は困難であるが,本疾患の存在も念頭におくことが必要であると思われた.
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小松 信俊, 黒崎 雅之, 佐藤 光明, 田中 智大, 平山 慈子, 安井 豊, 梅田 尚季, 細川 貴範, 上田 研, 土谷 薫, 中西 ...
2008 年 105 巻 11 号 p.
1640-1647
発行日: 2008年
公開日: 2008/11/05
ジャーナル
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症例は35歳女性.右季肋部鈍痛のため受診した.画像診断では肝両葉の被膜直下に不整形腫瘍が多発し,腫瘍部表面は陥凹していた.腹腔鏡では中央部が瘢痕性に陥凹した白色調腫瘍を多発性に認め,生検による病理組織学的診断で類上皮性血管内皮腫と診断した.類上皮性血管内皮腫は病変が肝表面に局在することが多く経皮的腫瘍生検が困難である.今回われわれは腹腔鏡下の観察,生検が確定診断に有用であった1例を経験したため報告する.
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阿久津 典之, 高木 秀安, 山本 博幸, 佐々木 茂, 木村 康利, 平田 公一, 足立 靖, 遠藤 高夫, 加藤 康夫, 今井 浩三, ...
2008 年 105 巻 11 号 p.
1648-1655
発行日: 2008年
公開日: 2008/11/05
ジャーナル
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72歳男性.総胆管狭窄に対し,肝外胆管切除と肝管空腸吻合術,さらに膵仮性嚢胞に対して膵管空腸吻合術を施行されている.平成16年より肝管空腸吻合部の静脈瘤からの出血によりショック状態を繰り返すようになったため,平成18年6月当科入院となった.開腹下に経回腸静脈よりアプローチし,コイルを用いて静脈瘤を塞栓した.1年後の現在まで再出血を認めていない.本法は,全身状態不良な患者にも施行でき,有用と考えられる.
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岡本 賢, 喜多島 聡, 根岸 龍二郎, 前畑 忠輝, 紅露 剛史, 山内 俊一, 高橋 秀明, 片倉 芳樹, 渡邊 嘉行, 安彦 隆一, ...
2008 年 105 巻 11 号 p.
1656-1665
発行日: 2008年
公開日: 2008/11/05
ジャーナル
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症例1は71歳,男性.下血を主訴に来院.膵尾部に巨大な腫瘤を認め,膵癌の胃壁浸潤と診断.病理組織所見にて,退形成性膵癌·巨細胞型であった.症例2は61歳,女性.主訴は上腹部痛.膵体尾部に嚢胞の散在をともなう不整な腫瘤を認め,急速増大を示した.剖検にて退形成性膵癌·多形細胞型であった.両症例とも上皮系および間葉系マーカーが陽性を示し,E-cadherin染色にて染色性の低下を認め,退形成性膵癌の腫瘍細胞の多様性が示唆される結果であった.
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