日本消化器病学会雑誌
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症例報告
下行結腸に生じた神経節細胞腫の1例
小沢 俊文
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2008 年 105 巻 4 号 p. 543-549

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抄録

症例は32歳,女性.貧血精査のため大腸内視鏡検査が施行された.下行結腸に,発赤した丈高の部分と褪色調の丈の低い部分から成る隆起性病変を認めた.表面は光沢があり平滑で,送気送水で変形する比較的軟らかい腫瘤であった.また潰瘍瘢痕が多発しており,明らかな腫瘍性pitは観察されなかった.丈高の発赤部には星房状pitがみられた.超音波内視鏡検査では第2∼3層上層主体の壁肥厚像として描出され,丈高の隆起部には一部無エコー域が観察された.診断的EMRが行われ,組織学的には上皮直下に神経線維と紡錘形細胞が増生し,神経節細胞も認めた.発赤部には腺管の過形成がみられた.以上より,ポリポイド型のganglioneuroma(神経節細胞腫)と診断した.Neurofibromatosis-1や多発性内分泌腫瘍症候群をともなわない大腸神経節細胞腫の本邦報告例は16例とまれであり,興味ある内視鏡像を中心に報告した.

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© 2008 (一財) 日本消化器病学会
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