日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
105 巻 , 4 号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
総説
  • 神澤 輝実
    2008 年 105 巻 4 号 p. 479-485
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/04/04
    ジャーナル フリー
    自己免疫性膵炎は,膵腫大と膵管狭細像,血中IgG4値の上昇,高齢の男性に好発,ステロイドが奏功する,などの特徴を持つ特殊な膵炎であり,膵臓癌との鑑別が特に重要である.自己免疫性膵炎に合併する膵外病変の組織像は膵臓と同様にTリンパ球とIgG4陽性形質細胞の密な浸潤をともなう線維化であり,また全身諸臓器にはIgG4陽性形質細胞の密な浸潤が認められることより,われわれはIgG4関連硬化性疾患という新しい全身疾患の概念を提唱した.線維化と閉塞性静脈炎を生じる膵,胆管,胆嚢,唾液腺,後腹膜などにおいて臨床徴候を呈する.高率にリンパ節腫大をともない,悪性腫瘍を疑われることが多いが,無益な外科手術を行わないためにも,本症を念頭におくことが肝要である.
今月のテーマ:自己免疫性膵炎の新展開
  • 岡崎 和一, 内田 一茂
    2008 年 105 巻 4 号 p. 486-493
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/04/04
    ジャーナル フリー
    自己免疫性膵炎の診断に関して,わが国の診断基準の現状を述べるとともに海外との比較についてのべた.わが国の「自己免疫性膵炎臨床診断基準2006」(厚生労働省難治性膵疾患調査研究班,日本膵臓学会)は,(1)膵臓病の専門家や消化器病の専門医だけでなく,一般医家をも対象にする,(2)本症と最も鑑別すべき膵癌や胆管癌などの悪性疾患をできるだけ排除する,(3)全身疾患である可能性はあるが,各膵外病変の診断法が確立されていないことより,膵病変に限定された診断基準である,(4)ステロイドの診断的治療は避ける,などのミニマムコンセンサスの立場である.一方,海外からは,ステロイドの効果や膵外病変を含む,より広範囲な立場をとる診断基準が提唱されている.
  • 川 茂幸
    2008 年 105 巻 4 号 p. 494-501
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/04/04
    ジャーナル フリー
    自己免疫性膵炎は高齢者·男性に好発し膵癌,胆道癌との鑑別が臨床的に重要である.血清IgG4上昇と多彩な膵外病変の合併が特徴的で,発症に免疫異常が想定される.IgG4は診断ならびに活動性の指標として有用であるが,病因的意義は不明である.本疾患発症には複数の遺伝要因が関与すると考えられるが,HLA DRB1*0405-DQB1*0401 haplotypeと相関を認め,これらHLA分子がペプチド抗原をT細胞に呈示して,発症の引き金になることが予想される.HLA領域以外ではFCRL3, CTLA4の関与が報告されている.また,制御性T細胞や補体活性化機序も病態に関与していると考えられるが,発症に直接的に関連すると考えられる自己抗原はいまだ同定されていない.
  • 中沢 貴宏, 大原 弘隆, 安藤 朝章, 林 香月, 城 卓志
    2008 年 105 巻 4 号 p. 502-510
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/04/04
    ジャーナル フリー
    自己免疫性膵炎は高率に硬化性胆管炎を合併する.びまん性に硬化性の胆管狭窄をきたす症例では難治性の原発性硬化性胆管炎との鑑別を,限局性に胆管狭窄をきたす症例においては胆管癌との鑑別が重要である.自己免疫性膵炎に合併する硬化性胆管炎は膵病変と同様にステロイドに良好に反応するため,肝移植の適応となる原発性硬化性胆管炎と正確に鑑別することが大切である.そのためには臨床像,胆管像,超音波像などの画像診断および病理像の特徴を理解する必要がある.また膵病変をともなわず硬化性胆管炎単独で発症する症例もありこのような症例の診断は難しい.
座談会:自己免疫性膵炎の新展開
症例報告
  • 山本 俊祐, 上堂 文也, 飯石 浩康, 山本 幸子, 竹内 洋司, 東野 晃治, 石原 立, 石黒 信吾, 竜田 正晴
    2008 年 105 巻 4 号 p. 529-534
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/04/04
    ジャーナル フリー
    症例は40歳代男性.上部消化管内視鏡検査にて胃体上部に7mm大の隆起性病変を認め,生検にてカルチノイドと診断.体部のみ萎縮を認めA型胃炎であった.胃粘膜切除術を施行.組織学的には粘膜下層に2500μm浸潤したカルチノイドであった.1年後,局所再発·転移を認めず.これまでの報告を含めA型胃炎に合併した胃カルチノイドに対しては大きさが1cm以下の場合は内視鏡治療による経過観察が妥当であることを示した.
  • 松村 真生子, 小島 英吾, 太島 丈洋, 束原 進, 石黒 信吾
    2008 年 105 巻 4 号 p. 535-542
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/04/04
    ジャーナル フリー
    69歳男性.黒色便を主訴に来院し,内視鏡検査にて十二指腸下行脚に15mm大の粘膜下腫瘍様の隆起と同部からの漏出性出血を認めた.内視鏡的止血に難渋し,準緊急に十二指腸部分切除術を施行した.術後,AL(lambda型)アミロイドーシスと診断された.消化管ALアミロイドーシスは多発する粘膜下腫瘤様隆起が特徴的とされているが,発見当初,本例では単発の隆起を呈しており,まれな形態と考えられた.
  • 小沢 俊文
    2008 年 105 巻 4 号 p. 543-549
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/04/04
    ジャーナル フリー
    症例は32歳,女性.貧血精査のため大腸内視鏡検査が施行された.下行結腸に,発赤した丈高の部分と褪色調の丈の低い部分から成る隆起性病変を認めた.表面は光沢があり平滑で,送気送水で変形する比較的軟らかい腫瘤であった.また潰瘍瘢痕が多発しており,明らかな腫瘍性pitは観察されなかった.丈高の発赤部には星房状pitがみられた.超音波内視鏡検査では第2∼3層上層主体の壁肥厚像として描出され,丈高の隆起部には一部無エコー域が観察された.診断的EMRが行われ,組織学的には上皮直下に神経線維と紡錘形細胞が増生し,神経節細胞も認めた.発赤部には腺管の過形成がみられた.以上より,ポリポイド型のganglioneuroma(神経節細胞腫)と診断した.Neurofibromatosis-1や多発性内分泌腫瘍症候群をともなわない大腸神経節細胞腫の本邦報告例は16例とまれであり,興味ある内視鏡像を中心に報告した.
  • 喜多 竜一, 中辻 正人, 西島 規浩, 川上 尚人, 波多野 貴昭, 松尾 裕央, 齋藤 澄夫, 池田 敦之, 那須 章洋, 西川 浩樹, ...
    2008 年 105 巻 4 号 p. 550-557
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/04/04
    ジャーナル フリー
    症例は28歳男性.USにて肝S5/6にφ7cmの腫瘤を認めた.造影US,CT,MRIの早期相では中心から放射状に広がる車軸様血管を認め,造影USの後期相やSPIO MRIでは腫瘤にKupffer細胞の存在が示唆された.病理組織とあわせ,FNHと診断されたが,single level dynamic CTHAでは,撮像後期にコロナ様濃染を認めた.腫瘤血洞から類洞を介する腫瘤流出血流によりコロナ様濃染を生じたと考える.
  • 福田 浩敏, 水田 陽平, 大場 一生, 池田 幸紀, 小田 英俊, 磯本 一, 宿輪 三郎, 河野 茂
    2008 年 105 巻 4 号 p. 558-565
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/04/04
    ジャーナル フリー
    症例は51歳男性,胃X線検査にて胃体部の陥凹性病変と近傍の管状物がみられ,内視鏡検査にて胃体下部小弯に黄色漿液が流出する陥凹とその後壁肛側に潰瘍を認めた.腹部CT, MRCPでは胃から肝外側区域に向かう索状構造物と通常の総胆管を認めた.経乳頭的に総胆管を,経胃的に副胆管を造影し,左右胆管の別開口が確認され,重複胆管症と診断した.本奇形は胎生早期に発生した可能性が高く,胃潰瘍発症への関与が推測された.
  • 田中 美和子, 北台 靖彦, 児玉 美千世, 炭田 知宜, 品川 慶, 吉岡 京子, 満岡 裕, 益田 浩, 日山 亨, 田中 信治, 吉原 ...
    2008 年 105 巻 4 号 p. 566-571
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/04/04
    ジャーナル フリー
    症例は17歳,男性.交通外傷による多発骨折で当院に入院.交通外傷後28日目に心窩部を中心に強い腹痛が出現し,消化管超音波検査,CT検査にて十二指腸と回腸から上行結腸にかけての壁肥厚を認めた.腹痛の出現から19日目に両下肢に紫斑が出現しアレルギー性紫斑病にともなう腹痛と診断.その後尿蛋白,血尿が出現し,腎生検で紫斑病性腎炎の所見を認めた.本例は交通外傷後に腹部症状が出現し,皮膚や腎症状が遅れて出現し,診断が困難であった.
  • 藤崎 聡, 猪狩 功遺, 亀井 明, 高野 浩一, 倉岡 賢輔, 平澤 俊明, 吉本 和仁, 浅原 新吾
    2008 年 105 巻 4 号 p. 572-577
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/04/04
    ジャーナル フリー
    症例は51歳,女性.46歳時に胃癌で胃切除術を施行された.その後,近医定期通院中,2004年10月脾臓に径10mm大の腫瘤性病変を指摘された.2005年11月に行った検査で腫瘍径の増大を認め,切除を希望され当院を受診した.単純CTでは低吸収の腫瘤として,また造影CTでは遷延性の造影効果を示した.また造影超音波ではvascular imageで腫瘤内部に散在性に微細で淡い染影像がみられ,delayed parenchymal phaseにおいては比較的境界明瞭な染影欠損像として描出された.胃癌の脾転移も否定できず,2006年1月脾臓摘出術を施行した.病理組織学的には好酸性線維の増生や硝子化および炎症細胞浸潤が認められ,inflammatory pseudotumorと診断した.
  • 平良 章子, 山田 正美, 竹平 安則, 影山 富士人, 吉井 重人, 室久 剛, 吉田 賢一, 岩岡 泰志, 寺井 智宏, 魚谷 貴洋, ...
    2008 年 105 巻 4 号 p. 578-582
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/04/04
    ジャーナル フリー
    症例は65歳男性.20年前より胆石を指摘されていた.2007年2月中旬,腹痛·嘔吐で発症し腹部X線検査,腹部CT検査の典型的な画像所見より胆石イレウスと診断,腹膜刺激症状を認めたため同日緊急手術となった.開腹すると胆嚢十二指腸瘻を形成し,小腸への胆石嵌頓に加えそれより口側小腸に潰瘍穿孔の所見を認めた.本症例は胆石イレウスに穿孔性腹膜炎を合併したまれな症例であり文献的考察を含め報告する.
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