自己免疫性膵炎は高齢者·男性に好発し膵癌,胆道癌との鑑別が臨床的に重要である.血清IgG4上昇と多彩な膵外病変の合併が特徴的で,発症に免疫異常が想定される.IgG4は診断ならびに活動性の指標として有用であるが,病因的意義は不明である.本疾患発症には複数の遺伝要因が関与すると考えられるが,HLA DRB1
*0405-DQB1
*0401 haplotypeと相関を認め,これらHLA分子がペプチド抗原をT細胞に呈示して,発症の引き金になることが予想される.HLA領域以外ではFCRL3, CTLA4の関与が報告されている.また,制御性T細胞や補体活性化機序も病態に関与していると考えられるが,発症に直接的に関連すると考えられる自己抗原はいまだ同定されていない.
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