2008 年 105 巻 7 号 p. 1012-1016
近年,早期胃癌に対する腹腔鏡下手術施行症例は年々増加の一途をたどっている.日本胃癌学会が作成した胃癌治療のガイドラインによると,早期胃癌に対する腹腔鏡下手術は臨床研究としてStage IBまで認められており,このステージでは標準リンパ節郭清であるD2リンパ節郭清が必要とされる.特に,T1, N1のStage IB症例では確実なD2リンパ節郭清が予後に大きく影響を及ぼす可能性が高い.しかし腹腔鏡下D2リンパ節郭清の手技的難易度は高く,この手技を確実にこなせる外科医は現時点では多くない.そこでStage IB症例に対する腹腔鏡下手術の適応は無作為割付比較試験(RCT)が必要と判断される.