日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
今月のテーマ:消化器以外の診療科からみた低用量アスピリンの必要性と消化器障害
循環器疾患における抗血小板療法と消化管障害-循環器内科の立場から
掃本 誠治小川 久雄
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2009 年 106 巻 11 号 p. 1582-1588

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抄録

冠動脈ステント挿入患者では,内視鏡生検などのため,不用意な抗血小板薬の中断によりステント血栓症のリスクがあり,循環器医へのコンサルトをすすめたい.アスピリンとチエノピリジン系の二剤併用療法はステント挿入後数カ月間必須だが,アスピリン単独に比し消化管障害のリスクが増大する.二剤併用療法時に,米国ではPPIが推奨されているがクロピドグレルの血小板凝集能抑制効果を減弱させ,心血管イベントを増大させるリスクが報告されている.しかし,われわれのデータでは,PPIは二剤併用療法時の消化管障害発症を抑制し,併用によりチエノピリジン系の抗血小板効果をex vivoでは減弱させるものの臨床転帰には有意差を認めなかった.

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© 2009 (一財) 日本消化器病学会
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