日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
今月のテーマ:機能性消化管疾患の病態と治療
機能性ディスペプシアの病態と治療
金子 宏小長谷 敏浩後藤 秀実
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2009 年 106 巻 3 号 p. 335-345

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抄録

機能性ディスペプシアの症状は4つに絞られ,さらに食事との関係から2つのカテゴリー(食後愁訴症候群と心窩部痛症候群)が提唱された(Rome III).各カテゴリーに特異的な病態を明らかにし,理論的な治療法の確立が目標である.摂食に対する能動的反射である胃底部の適応性弛緩不全,続いて急激な胃排出による十二指腸刺激,結果的には胃排出の遅延をいう病態が,食後愁訴症候群を引きおこす説が有力である.不安状態にある患者への説明と保証が治療効果をもたらす.消化管運動賦活薬,酸分泌抑制薬の有効性が検証されているが,QOLの改善を目標とした良好な患者―医師関係に立脚した心身医学的アプローチが必要な疾患である.

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© 2009 (一財) 日本消化器病学会
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