-
塩澤 一恵, 渡邉 学, 生馬 晶子, 永井 英成, 飯田 和成, 石井 耕司, 五十嵐 良典, 住野 泰清, 三木 一正
2009 年 106 巻 3 号 p.
370-376
発行日: 2009年
公開日: 2009/03/05
ジャーナル
フリー
症例は62歳,男性.咽頭痛,心窩部痛を主訴に入院.著明な炎症反応とCTで右下咽頭に低吸収域,頸部食道から胃にかけて壁内の低吸収域を有する壁肥厚を認め,下咽頭膿瘍から波及した食道胃蜂窩織炎と診断した.基礎に糖尿病を合併していたため感染が広範囲となり重篤化したが,抗菌薬および下咽頭膿瘍ドレナージにて軽快した.臨床症状と血液検査所見と合わせ,CTが早期診断,炎症範囲の確認および経過観察に有用だった.
抄録全体を表示
-
八杉 晶子, 松岡 宏至, 大谷 英之, 前田 和範, 松本 和也, 香田 正晴, 河口 剛一郎, 原田 賢一, 八島 一夫, 村脇 義和, ...
2009 年 106 巻 3 号 p.
377-382
発行日: 2009年
公開日: 2009/03/05
ジャーナル
フリー
症例は83歳,男性.2年前から下痢を認めていたが,下痢回数の増加,全身衰弱のため当院に入院.著明な脱水とNa, K, Clの低下を認めた.大腸内視鏡検査にて直腸に巨大な絨毛腫瘍を認め外科的に切除した.術後,症状は速やかに改善した.大腸絨毛腫瘍は下痢と,それにともなう電解質異常である電解質喪失症候群(Electrolyte depletion syndrome; EDS)を呈することがある.
抄録全体を表示
-
島村 隆浩, 佐藤 力弥, 野口 忠昭, 佐々木 邦明, 趙 成済
2009 年 106 巻 3 号 p.
383-388
発行日: 2009年
公開日: 2009/03/05
ジャーナル
フリー
患者は44歳男性.盲腸癌術後6カ月で多発肝転移をきたしたため,肝動注療法と全身化学療法を施行した.肝動注施行後38週目頃より上背部の鈍痛が出現し,肝動注用カテーテル造影にて十二指腸下行脚へのカテーテル逸脱が確認されたが,カテーテル除去術は施行せず保存的治療で軽快した.大腸癌術後多発肝転移に対して肝動注療法は有効な手段であるが,特有の合併症が存在し時に重篤な経過をとるため注意が必要である.
抄録全体を表示
-
浅木 彰則, 三宅 康広, 安東 正晴, 安原 ひさ恵, 松本 和幸, 高原 政宏, 河合 大介, 加地 英輔, 豊川 達也, 大西 亨, ...
2009 年 106 巻 3 号 p.
389-396
発行日: 2009年
公開日: 2009/03/05
ジャーナル
フリー
症例は75歳男性,右季肋部痛を主訴に来院し,CTで肝右葉に巨大な腫瘤を認め入院した.腹部超音波で腫瘤内を貫通する脈管を認め,超音波ガイド下腫瘍生検を行い悪性リンパ腫と診断した.骨髄正常で,脾腫がなくPET-CTにて肝以外にFDGの有意な集積を認めなかったことから肝原発と診断した.Rituximabを併用したCHOP療法を8クール施行し,治療後のPET-CTでFDGの有意な集積を認めず完全寛解と判定した.節外性悪性リンパ腫の0.41%と非常にまれな疾患である肝原発悪性リンパ腫の1例を経験し,R-CHOP療法により完全寛解が得られたので報告する.
抄録全体を表示
-
森田 慎一, 松田 康伸, 大嶋 智子, 窪田 智之, 河内 裕介, 小林 真, 野本 実, 青柳 豊
2009 年 106 巻 3 号 p.
397-404
発行日: 2009年
公開日: 2009/03/05
ジャーナル
フリー
C型慢性肝炎の73歳男性.約2cm大の肝細胞癌を3回発症したが局所治療で制御され肝内に再発を認めなかった.最終治療の約9カ月後に腹腔リンパ節腫大が出現し,生検で肝細胞癌と診断された.TS-1/Cisplatin併用化学療法を施行したが,病変は急速に増大し,約10カ月後に死亡した.肝細胞癌のリンパ節転移は臨床上まれとされているが,剖検では高頻度に報告されており,同病態に対する治療法の確立が必要である.
抄録全体を表示
-
柄澤 哲, 冨樫 整, 田嶋 克史, 鈴木 明彦, 小野寺 滋, 芳賀 弘明, 石井 里佳, 三沢 慶子, 三條 麻衣, 奥本 和夫, 西瀬 ...
2009 年 106 巻 3 号 p.
405-410
発行日: 2009年
公開日: 2009/03/05
ジャーナル
フリー
特発性血小板減少性紫斑病(以下ITP)を合併したC型慢性肝炎の1例を経験した.症例は,65歳,女性で,HCV遺伝子型は2b低ウイルス量であった.骨髄穿刺塗抹像の巨核球増加と除外診断から,ITPを合併しているC型慢性肝炎と診断した.インフォームド·コンセント取得の後,血小板数や副作用に十分注意し,インターフェロンβを導入し,最終的に肝機能の改善,HCVの持続陰性化,血小板数の増加を認めた.
抄録全体を表示
-
岡村 修祐, 酒井 輝文, 吉貝 浩史, 住江 博明, 成田 高三郎, 辛島 卓, 前山 泰彦, 檜垣 浩一, 井出 達也, 佐田 通夫
2009 年 106 巻 3 号 p.
411-417
発行日: 2009年
公開日: 2009/03/05
ジャーナル
フリー
症例は61歳女性,脾摘術の既往あり.C型慢性肝炎に対するインターフェロン療法中に意識障害で救急搬送され,数時間で多臓器不全となり死亡.剖検·血液培養検査で肺炎球菌による敗血症と診断される.脾摘後劇症型感染症(OPSI)の1例と考えられ,インターフェロンが誘引となったと推測された.脾摘患者に免疫能低下をともなう治療を行う際は,感染症の重症化を常に念頭に入れ,また肺炎球菌ワクチン接種を検討することが望ましい.
抄録全体を表示