日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
症例報告
重症急性膵炎を合併した膵漿液性嚢胞腫瘍の1剖検例
折原 美佳黒木 実智雄平本 圭一郎庄司 広和松村 吉史菊地 義文平川 秀紀前田 邦彦
著者情報
ジャーナル フリー

2010 年 107 巻 6 号 p. 923-929

詳細
抄録

76歳女性.膵漿液性嚢胞腫瘍で経過観察中,重症急性膵炎を発症した.人工呼吸器管理下に治療を行ったが,第6病日死亡した.病理解剖では,腫瘍内部の出血で主膵管が圧排され,膵炎が惹起された可能性が考えられた.膵漿液性嚢胞腫瘍のほとんどは良性で,画像診断の進歩により,本症と診断され経過観察されている症例が増加している.本症が重症急性膵炎を合併したとの報告はないが,経過観察するにあたり留意すべきと考えられた.

著者関連情報
© 2010 (一財) 日本消化器病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top