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佐藤 学, 小川 仁, 柴田 近, 三浦 康, 安藤 敏典, 西條 文人, 羽根田 祥, 鹿郷 昌之, 木内 誠, 福島 浩平, 舟山 裕士 ...
2010 年 107 巻 6 号 p.
885-892
発行日: 2010年
公開日: 2010/06/07
ジャーナル
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ステロイド抵抗性のCrohn病にinfliximabが効果的であるが,癌の増殖進展を促進する可能性が指摘されている.Crohn病の肛門病変長期経過例に対してinfliximabを使用後,腫瘍マーカーの急激な増加がみられるも確定診断が困難であった痔瘻癌の症例を経験した.Crohn病にともなう肛門病変の長期経過例に対してinfliximabを使用する場合は,投与開始前後の厳重な観察が必要と考えられた.
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澁川 成弘, 根津 理一郎, 村田 真衣子, 佐藤 雅子, 野田 勝久, 廣田 昌紀, 山田 幸則, 吉原 治正
2010 年 107 巻 6 号 p.
893-899
発行日: 2010年
公開日: 2010/06/07
ジャーナル
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Infliximab(IFX)維持投与により長期在宅静脈栄養(HPN)から離脱可能であった2症例を経験した.症例1は41歳,男性.複数回の腸切除で短腸症候群,回腸瘻となり,会陰部に外瘻も認めた.症例2は29歳,女性.大腸亜全摘・回腸直腸吻合術後で直腸膣瘻からの排液が認められた.いずれも成分栄養療法継続は困難であり,社会復帰にHPNが必要であった.IFX維持投与により経口摂取にて再燃なく,HPNからの離脱が可能となりQOLの向上が得られた.
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新井 修, 池田 弘, 毛利 裕一, 能登原 憲司, 松枝 和宏
2010 年 107 巻 6 号 p.
900-908
発行日: 2010年
公開日: 2010/06/07
ジャーナル
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原発性胆汁性肝硬変(PBC)と炎症性腸疾患を合併した2例を経験した.症例1は64歳男性で,PBC加療中に潰瘍性大腸炎(UC)(直腸炎型)を発症し,メサラジン内服と注腸で寛解後,再燃寛解を繰り返した.症例2は40歳女性で,PBC加療中に下痢,発熱,関節痛を生じた.全大腸に炎症所見を認めたが,右側結腸優位で直腸の炎症は軽微であり,UCとしては非典型的であったため,indeterminate colitisと診断した.メサラジン内服で症状は改善したが,その後再燃した.
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森脇 義弘, 荒田 慎寿, 高山 和久
2010 年 107 巻 6 号 p.
909-914
発行日: 2010年
公開日: 2010/06/07
ジャーナル
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症例は72歳,女性.意識消失発作と構語障害で救急搬送された.腹痛,嘔気,心房細動の病歴,腹部反跳痛,炎症反応と腎機能障害,アシドーシスも認めた.頭部,腹部造影CTから脳梗塞発症後に併発した急性上腸間膜動脈閉塞症(SMAO)と診断した.近位空腸瘻造設ではなく一期的側端器械吻合で再建し,大量腸内容排出,頻回の下痢を回避し得た.急性SMAOの診断には詳細な病歴聴取,手術には一期的側端器械吻合再建が有用と思われた.
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則武 秀尚, 小林 良正, 早田 謙一, 川村 欣也, 川田 一仁, 高橋 百合美, 渡辺 晋也, 末廣 智之
2010 年 107 巻 6 号 p.
915-922
発行日: 2010年
公開日: 2010/06/07
ジャーナル
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症例は38歳の女性.全身性エリテマトーデス(SLE)にて通院中に軽度の肝障害を認めたため経過観察されていた.その後肝障害が悪化したため精査加療目的で入院した.血液検査では肝胆道系酵素の上昇と軽度のインスリン抵抗性を認め,病理組織学的検査では高度な脂肪沈着がみられた.飲酒歴はないことから非アルコール性脂肪性肝炎を考え,インスリン抵抗性改善目的でピオグリタゾンを投与したが肝障害は改善せず,1週間後に中止した.次にSLEによる肝障害と考えステロイドを増量したところ肝障害は速やかに改善した.SLEによる肝障害についての報告は少なく,病態についても不明な点が多い.文献的考察を加えて報告した.
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折原 美佳, 黒木 実智雄, 平本 圭一郎, 庄司 広和, 松村 吉史, 菊地 義文, 平川 秀紀, 前田 邦彦
2010 年 107 巻 6 号 p.
923-929
発行日: 2010年
公開日: 2010/06/07
ジャーナル
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76歳女性.膵漿液性嚢胞腫瘍で経過観察中,重症急性膵炎を発症した.人工呼吸器管理下に治療を行ったが,第6病日死亡した.病理解剖では,腫瘍内部の出血で主膵管が圧排され,膵炎が惹起された可能性が考えられた.膵漿液性嚢胞腫瘍のほとんどは良性で,画像診断の進歩により,本症と診断され経過観察されている症例が増加している.本症が重症急性膵炎を合併したとの報告はないが,経過観察するにあたり留意すべきと考えられた.
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吉田 道弘, 林 香月, 大原 弘隆, 宮部 勝之, 奥村 文浩, 内藤 格, 田中 創始, 安藤 朝章, 中沢 貴宏, 高橋 智, 城 卓 ...
2010 年 107 巻 6 号 p.
930-936
発行日: 2010年
公開日: 2010/06/07
ジャーナル
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症例は38歳,男性.壊死性遊走性紅斑が疑われ当院皮膚科入院.入院後,全身精査目的にCTを施行した際に膵尾部に腫瘤を指摘され当科紹介.造影CTやMRIでは類円形腫瘤が連なるように存在し,緩徐に造影されるものの濃染はされなかった.EUSでは境界明瞭な低エコー類円形腫瘤がCT同様,連なるように描出された.血中グルカゴン値高値のためグルカゴノーマを疑い,膵体尾部切除を施行した.病理所見は腫瘍細胞が充実性にリボン状,索状に増殖し,免疫染色でグルカゴン(+)のためグルカゴノーマと診断した.
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鈴木 貴久, 篠田 昌孝, 高士 ひとみ, 村山 睦, 内山 功子, 森瀬 和宏, 宇佐美 彰久, 辻 秀樹, 田代 和弘, 安藤 貴文, ...
2010 年 107 巻 6 号 p.
937-947
発行日: 2010年
公開日: 2010/06/07
ジャーナル
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50歳,男性.出血性十二指腸潰瘍にて治療となった.治療抵抗性であり膵も精査となった.CTで膵頭部,体部の動静脈奇形(AVM)の疑いがあり,血管造影で膵AVMと診断された.3カ月後に高熱,腹痛のため再入院した.第2病日のCTで膵頭部にガス像を含む嚢胞性病変が出現し第15病日のCTで胆管内にもガス像が認められた.翌日膵頭十二指腸切除術が施行され,総胆管十二指腸瘻が確認された.膵AVMに総胆管十二指腸瘻を合併することはまれであり報告した.
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