日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
総説
胆管癌診療の現状と課題
海野 倫明
著者情報
ジャーナル フリー

2010 年 107 巻 7 号 p. 1081-1088

詳細
抄録

胆管癌は難治癌の1つであるが,近年治療成績の向上が見られている癌の1つでもある.これはMD-CTに代表される新しいmodality導入による診断能向上が大きく寄与している.さらに術前胆道ドレナージ法もPTBDから内視鏡的ドレナージ法に変化し,肝不全回避策として術前門脈塞栓術が普及したことも一因である.外科切除術も肝門部・上部胆管癌に対する尾状葉切除をともなう肝切除が標準術式となり,治癒切除率が高くなった結果,治療成績が向上している.その一方で,中下部胆管癌に対しては膵頭十二指腸切除術が標準術式であるが,その治療成績は以前と比較すると大きな向上は見られない.治癒切除が行われた症例の成績もいまだ満足すべきものではなく,胆管癌の治療成績向上のためには新たなブレークスルーが求められている.

著者関連情報
© 2010 (一財) 日本消化器病学会
次の記事
feedback
Top