2011 年 108 巻 4 号 p. 564-574
Glucagon-like peptide-2(GLP-2)は33のアミノ酸で構成されるプログルカゴン由来ペプチドのひとつで,腸管内分泌細胞(L細胞)で生成される.G蛋白共役受容体に結合し,そのシグナル伝達は受容体発現細胞内のみならず,インスリン様成長因子(insulin-like growth factor;IGF-1)や迷走神経線維を介し全身に広く及ぶと想定される.小腸粘膜増殖・消化吸収の促進・粘膜バリアの維持など多彩な作用で腸管機能の恒常性に寄与し,現在,短腸症候群を中心にアナログ製剤の実用化が期待されている.本稿ではGLP-2の生理作用や臨床応用の現況,今後の課題について概説する.