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大門 佑美, 高橋 正純, 藪野 太一, 渡邉 純, 望月 康久, 鬼頭 文彦, 吉田 幸子
2011 年 108 巻 4 号 p.
605-610
発行日: 2011年
公開日: 2011/04/05
ジャーナル
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症例は38歳,男性.嘔気,心窩部痛,咳嗽を主訴に癌性リンパ管症を呈した4型進行胃癌(UM-circ cT3,N3,H0,P0,M1 stage IV por2)と診断された.外来で隔週docetaxel(DOC)/S-1療法を施行され,PRと判定,症状が消失した.grade 2以上の有害事象は感覚性神経障害のみであった.胃癌の癌性リンパ管症は予後不良であるが,隔週DOC/S-1療法は副作用が少なく,有効な治療と考えられる.
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田畑 拓久, 桑田 剛, 宅間 健介, 安食 元, 来間 佐和子, 江頭 秀人, 藤原 崇, 神澤 輝実, 江川 直人, 藤原 純子, 荒川 ...
2011 年 108 巻 4 号 p.
611-618
発行日: 2011年
公開日: 2011/04/05
ジャーナル
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症例は40歳代男性.不明熱精査で入院となり,各種検査を行ったが熱源不明のまま発症から約1カ月が経過した.その後,腹痛と血便を認め,大腸内視鏡検査と生検結果から潰瘍性大腸炎と診断された.ステロイド投与と白血球除去療法を施行したが治療抵抗性で緩解には至らず,罹患範囲の拡大と全身状態の急速な悪化を認め,大腸亜全摘術を施行した.術後は発熱なく経過し,不明熱の原因として潰瘍性大腸炎の関与が考えられた.
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中原 隆志, 菅 宏美, 中原 春奈, 浅本 泰正, 小松 弘尚, 徳毛 宏則, 石田 邦夫
2011 年 108 巻 4 号 p.
619-626
発行日: 2011年
公開日: 2011/04/05
ジャーナル
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症例は23歳男性.クローン病の診断にてステロイド,インフリキシマブで治療中,多発肝膿瘍を発症した.膿瘍穿刺を施行しグラム染色にてノカルジアが強く疑われたため,ST合剤を開始したところ軽快した.後に病原菌は
Nocardia farcinicaと同定された.本邦においてクローン病にノカルジア肝膿瘍を合併した症例の報告はない.早期の治療にて軽快しえたが,mortalityの高い疾患であり,報告する.
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内野 基, 池内 浩基, 坂東 俊宏, 松岡 宏樹, 松本 誉之, 冨田 尚裕
2011 年 108 巻 4 号 p.
627-632
発行日: 2011年
公開日: 2011/04/05
ジャーナル
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46歳,男性.35歳時発症の全大腸炎型潰瘍性大腸炎.重症化のため結腸全摘術を行ったが,門脈血栓症による難治性腹水が持続した.残存直腸出血のために,抗凝固療法は継続できなかったが,輸液,アルブミン製剤投与,腹水限外濾過濃縮再静注法により血栓は消失し,軽快した.潰瘍性大腸炎における門脈血栓症合併の頻度は低いものの,その死亡率は高く治療にも苦慮することが多く,結腸全摘後に軽快した症例を経験したので報告する.
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川口 真矢, 杉本 真也, 山本 玲, 山村 光弘, 大山田 純, 黒田 幹人, 亀井 昭, 佐藤 兵衛, 福家 博史, 奥田 善大, 矢花 ...
2011 年 108 巻 4 号 p.
633-639
発行日: 2011年
公開日: 2011/04/05
ジャーナル
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症例は72歳男性.下腹部痛および貧血にて近医を受診し,精査目的に当院を紹介受診された.腹部造影CTにて骨盤内小腸に腫瘤を指摘された.小腸X線検査にて腫瘤は空腸に指摘され,シングルバルーン小腸内視鏡検査では灰白色調から黒色調の弾性軟の腫瘤を認め,生検にて悪性黒色腫と診断された.全身検索にて他に原発巣を認めず,小腸原発悪性黒色腫と診断し,空腸部分切除術が施行された.リンパ節転移陽性(stage IIIa)であった.補助化学療法を継続し,現在6カ月間無再発生存中である.
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井上 潤, 増田 充弘, 斉藤 雅也, 斧山 美津子, 塩見 英之, 外山 博近, 新関 亮, 松本 逸平, 林 祥剛, 牧野 哲哉, 多田 ...
2011 年 108 巻 4 号 p.
640-649
発行日: 2011年
公開日: 2011/04/05
ジャーナル
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自己免疫性膵炎の診断基準2006の改定にともない限局性のAIPが数多く報告されるようになった.しかし,限局性のAIPは膵癌との鑑別が困難で,確定診断に苦慮する例がしばしば存在する.今回われわれは,鑑別診断が困難で膵切除術に至り術後に残膵に再燃をきたしたAIPの2症例を経験した.2症例はともに肺門部リンパ節腫大をともなっていた.AIPは全身性IgG4関連疾患であるという概念が広く認知され,膵外病変やステロイドの反応性を含めた診断基準の必要性も示唆された.
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平本 圭一郎, 黒木 実智雄, 中野 絵里子, 菅野 奈々, 松村 吉史, 三浦 敦司, 菊地 義文, 平川 秀紀, 松田 幹夫
2011 年 108 巻 4 号 p.
650-657
発行日: 2011年
公開日: 2011/04/05
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79歳男性.腹痛で近医を受診し急性膵炎が疑われて当院に紹介となった.CTで明らかな急性膵炎の所見を認めず,膵周囲の滲出液貯留と体部に径約8mmの不整な造影不良域を認めた.ERPで膵体部に主膵管狭窄と造影剤漏出を認め,膵管ステント留置が奏効した.その後CTで膵体部の腫瘤が明瞭化しEUS-FNAで膵癌と診断した.膵管破綻や膵液漏出の成因として,膵癌の可能性を念頭におき,膵管ステント留置などを試みるべきと考えられた.
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高松 徹, 東海 浩一, 池田 正俊, 牛丸 信也, 浅野 岳晴, 松本 吏弘, 岩城 孝明, 福西 昌徳, 鷺原 規喜, 宮谷 博幸, 吉 ...
2011 年 108 巻 4 号 p.
658-664
発行日: 2011年
公開日: 2011/04/05
ジャーナル
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60歳女性.突然ショック状態となり,造影CTにて脾臓および転移性肝腫瘍からの腹腔内出血と診断した.同部位に対するTAEにて血行動態は安定したが,第13病日死亡した.剖検にて腹膜播種,肝・肺・リンパ節転移をともなう脾原発血管肉腫と診断した.本疾患は原発臓器のみならず転移巣からも出血をともなうことがあり,TAEが出血性ショックに対する一時止血に有用であったと考えられ,本邦報告42例の検討とともに報告する.
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