抄録
アダリムマブ(ADA)は初回160mg,2週間後に80mgを皮下注射して寛解導入し,有効例では4週目から40mgを2週間隔ごとに継続して寛解を維持する.インフリキシマブ(IFX)治療歴にかかわらずADAの有効性が認められるが,IFX治療歴のない抗TNF製剤ナイーブ例では,より寛解率が高い.二次無効では40mg毎週投与や80mg隔週投与が有用である(本邦未承認).臨床的寛解のみならず粘膜治癒も含めた完全寛解(deep remission)を治療目標とし,小腸に多数の縦走潰瘍を有する例や,大腸でも広範な深い縦走潰瘍を認める場合など,予後不良が予測されるクローン病には,罹患期間2年未満での早期ADA治療介入が望ましい.