日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
今月のテーマ:クローン病診療のトピックス
アダリムマブによるクローン病の新しい治療戦略
本谷 聡山下 真幸田中 浩紀
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2012 年 109 巻 3 号 p. 370-377

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抄録
アダリムマブ(ADA)は初回160mg,2週間後に80mgを皮下注射して寛解導入し,有効例では4週目から40mgを2週間隔ごとに継続して寛解を維持する.インフリキシマブ(IFX)治療歴にかかわらずADAの有効性が認められるが,IFX治療歴のない抗TNF製剤ナイーブ例では,より寛解率が高い.二次無効では40mg毎週投与や80mg隔週投与が有用である(本邦未承認).臨床的寛解のみならず粘膜治癒も含めた完全寛解(deep remission)を治療目標とし,小腸に多数の縦走潰瘍を有する例や,大腸でも広範な深い縦走潰瘍を認める場合など,予後不良が予測されるクローン病には,罹患期間2年未満での早期ADA治療介入が望ましい.
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© 2012 (一財) 日本消化器病学会
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