日本消化器病学会雑誌
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Print ISSN : 0446-6586
今月のテーマ:ペプシノゲンの過去・現在・未来
血清ペプシノゲンによるH. pylori除菌判定
古田 隆久杉本 光繁小平 知世西野 眞史山出 美穂子魚谷 貴洋佐原 秀市川 仁美山田 貴教杉本 健大澤 恵白井 直人
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2013 年 110 巻 2 号 p. 210-217

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抄録

血清ペプシノゲン(PG)値はH. pyloriが除菌されると大きく変化する.すなわち,除菌に成功するとPG I,PG IIの低下とPG I/PG II比の有意な増加を認める.しかし,除菌失敗例ではこうした変化はみられない.そのため,血清PGは,簡便に除菌療法の推移を計るバイオマーカーであると考えられる.血清PGの変化率による判定基準としては,治療前値のPG I/PG II比が3.0未満では+40%以上の増加,治療前のPG I/PG II比が3.0以上,5.0未満では+25%以上の増加,治療前のPG I/PG II比が5.0以上では+10%以上の増加をもって除菌と判定した場合,感度,特異度,有用度は100.0%,93.1%,96.2%であり,非常に高い精度で除菌判定が可能である.H. pylori感染に対する宿主側の反応の変化を捉えたきわめて精度の高い判定法であると考えられる.本検査を応用することで,除菌判定法の選択肢が増えてさまざまな患者の個々の状況に応じた診療が可能になると考えられる.

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© 2013 (一財) 日本消化器病学会
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