日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
110 巻, 2 号
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総説
  • 河合 隆, 後藤田 卓志, 森安 史典
    2013 年 110 巻 2 号 p. 203-209
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/02/05
    ジャーナル オープンアクセス
    ペプシノゲン(PG)は胃粘膜で特異的に産生される蛋白分解酵素ペプシンの前駆体である.胃粘膜の炎症および萎縮の状態を反映して血清PG値が変動する.萎縮性胃炎が進行するとPG値は低下する.胃癌のうち分化型胃癌は高度に進んだ萎縮性胃炎から発生するため,血清PG値が胃癌のスクリーニングに応用されている.一方H. pylori除菌を行うと炎症か消失することにより,胃粘膜の萎縮・腸上皮化生が残存するにもかかわらず,PG法の判定が陽性から陰性に80%が変化してしまうなどの問題点も残されている.今後さらなる詳細な検討が必要であろう.
今月のテーマ:ペプシノゲンの過去・現在・未来
  • 古田 隆久, 杉本 光繁, 小平 知世, 西野 眞史, 山出 美穂子, 魚谷 貴洋, 佐原 秀, 市川 仁美, 山田 貴教, 杉本 健, 大 ...
    2013 年 110 巻 2 号 p. 210-217
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/02/05
    ジャーナル オープンアクセス
    血清ペプシノゲン(PG)値はH. pyloriが除菌されると大きく変化する.すなわち,除菌に成功するとPG I,PG IIの低下とPG I/PG II比の有意な増加を認める.しかし,除菌失敗例ではこうした変化はみられない.そのため,血清PGは,簡便に除菌療法の推移を計るバイオマーカーであると考えられる.血清PGの変化率による判定基準としては,治療前値のPG I/PG II比が3.0未満では+40%以上の増加,治療前のPG I/PG II比が3.0以上,5.0未満では+25%以上の増加,治療前のPG I/PG II比が5.0以上では+10%以上の増加をもって除菌と判定した場合,感度,特異度,有用度は100.0%,93.1%,96.2%であり,非常に高い精度で除菌判定が可能である.H. pylori感染に対する宿主側の反応の変化を捉えたきわめて精度の高い判定法であると考えられる.本検査を応用することで,除菌判定法の選択肢が増えてさまざまな患者の個々の状況に応じた診療が可能になると考えられる.
  • 間部 克裕, 加藤 元嗣, 坂本 直哉, 浅香 正博
    2013 年 110 巻 2 号 p. 218-224
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/02/05
    ジャーナル オープンアクセス
    ペプシノゲン(PG)は,胃底腺で産生されるPG Iと胃全体から産生されるPG IIからなり,約1%が血液中に漏出する.血清PGは胃粘膜の萎縮と相関し,PG I 70ng/ml以下かつPG I/II比3以下がPG法における胃がん高リスクである.胃がんの原因がH. pylori感染であることが明らかになり,PGに血清H. pylori抗体を組み合わせるABC分類が提唱され,胃がんリスク分類が可能となった.H. pylori除菌治療によりリスク例もA群に誤分類されてしまうことが課題である.Cut off値の見直しや除菌後PGなど,除菌治療後のPGについて検討がされている.
  • 中島 滋美
    2013 年 110 巻 2 号 p. 225-233
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/02/05
    ジャーナル オープンアクセス
    ペプシノゲン(PG)法,ABC分類および胃X線検査の現状と問題点,および胃がん検診における位置づけを考察した.PG法は血清学的胃粘膜萎縮診断法で,効率よく胃がん危険群を囲い込むことができるが,PG陰性胃がんが存在するため胃がんを見落とす可能性がある.PG法と血清ヘリコバクター・ピロリ(Hp)抗体検査を併用したABC分類は,両者の弱点を補い合う組み合わせで,血液検査で簡便に実施できる胃がんリスク評価法である.胃X線検査は対策型検診として唯一認められている検査法で,画像によるHp感染診断も可能である.ABC分類と胃X線検査を相補的に利用すると,効率のよい「リスク別胃がん予防&検診」が構築できる.
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