2013 年 110 巻 8 号 p. 1447-1453
症例は84歳男性.2001年,大量下血にて結腸亜全摘,回腸瘻およびS状結腸に粘液瘻を造設した.以後無症状であったが,2006年4月頃からS状結腸の粘液瘻および肛門より粘血便様の排泄物を認め,下部消化管内視鏡検査にてdiversion colitisと診断した.短鎖脂肪酸注腸療法を開始したが十分な改善は得られず,5-ASA注腸に変更したところ症状の消失を認めた.空置腸管のある消化管術後の下部消化管出血では,diversion colitisも念頭に置くべきであり,5-ASA注腸も有効な治療法である可能性が示唆された.