日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
原著
漢方薬内服により発症した腸間膜静脈硬化症の臨床経過
大津 健聖松井 敏幸西村 拓平井 郁仁池田 圭祐岩下 明徳頼岡 誠畠山 定宗帆足 俊男古賀 有希櫻井 俊弘宮岡 正喜
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2014 年 111 巻 1 号 p. 61-68

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抄録

(背景)腸間膜静脈硬化症(以下MP)は比較的まれな大腸疾患である.その原因として,近年漢方薬との関連が注目されている.(対象と方法)本検討では,自験例と報告例を合わせた42例を対象に,MPと漢方薬の関連を検討した.(結果)自験例の約9割の症例に漢方薬内服歴を認めた.特に,加味逍遥散と黄連解毒湯が多数例で内服されていた.生薬成分では,大部分の症例が山梔子を含む漢方薬を内服していた.(考察)MP症例の多くは漢方薬の内服歴があり,MP発症後も漢方薬の継続内服により症状増悪をきたした症例が存在し,同じ漢方薬の長期内服を行った夫婦にMPを発症したことから,漢方薬成分山梔子がMP発症に強く関与すると推測した.

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© 2014 (一財) 日本消化器病学会
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