日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
111 巻, 1 号
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特別寄稿
総説
  • 池嶋 健一, 渡辺 純夫
    2014 年 111 巻 1 号 p. 4-13
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/01/05
    ジャーナル フリー
    非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の主体はメタボリックシンドロームの肝臓における表現型であり,非アルコール性脂肪肝(NAFL)から非アルコール性脂肪肝炎(NASH)として肝硬変・肝癌に至る進行性の肝病変を包括する疾患概念である.NAFLDの病態には遺伝的素因,エピジェネティック制御機構や遊離脂肪酸の脂肪毒性に加え,腸内細菌叢のバランスや自然免疫系などが関与している.NAFLD進展防止の基本は生活習慣改善であり,ビタミンEやチアゾリジン系薬剤の有効性について一定の臨床的エビデンスが得られているが,長期成績や安全性の検証が今後の課題である.また,新規治療薬の開発も期待される.
今月のテーマ:NAFLDの診療・研究のupdate
  • 小川 祐二, 今城 健人, 米田 正人, 中島 淳
    2014 年 111 巻 1 号 p. 14-24
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/01/05
    ジャーナル フリー
    NAFLD/NASHは世界中において増加している.また,NAFLDにおけるNASHの占める割合は従来の想定よりも多いと報告されるようになり,肝硬変や肝細胞癌,他にも心血管疾患を引きおこすNASHを的確に抽出し,線維化の進行を予防することは急務とされている.近年では小児科領域においても最も頻度の高い肝疾患となっており注意を要する.NAFLD/NASHは環境因子と遺伝因子が複雑に絡み合う疾患であり,さまざまな検討が行われている.環境因子としては,肥満および運動不足を背景とした内臓脂肪蓄積によるインスリン抵抗性が病態の中枢を担い,糖尿病や脂質異常症などが複雑に絡み合う.さらには,食事の構成成分の関与も報告されている.遺伝因子としては,GWASでの解析からPNPLA3のSNPの関与が報告されている.
  • 鎌田 佳宏, 三善 英知, 竹原 徹郎
    2014 年 111 巻 1 号 p. 25-34
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/01/05
    ジャーナル フリー
    NAFLDからNASHを鑑別診断するには肝生検が必要であるが,わが国に約1000万人いるNAFLD患者すべてに行うことは困難である.最近,非侵襲的なNASH診断法としてさまざまな血液マーカーを用いたスコアリングシステム,最新の画像診断法であるエラストグラフィーやControlled Attenuation Parameter(CAP)が用いられるようになってきた.また単一の血液マーカーとしてサイトケラチン18断片の有用性が報告されている.われわれは最近糖鎖マーカーを用いた新規NASH診断の血液バイオマーカーを発見した.これら非侵襲的診断法は肝生検に取って代わる新しいNASH診断法となることが期待される.
  • 米田 政志
    2014 年 111 巻 1 号 p. 35-41
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/01/05
    ジャーナル フリー
    肥満の増加によって,メタボリックシンドロームの肝臓での表現型とされる非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)および非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)が増加している.NASH/NAFLDの治療は,NASHの発症機序と,合併する糖尿病,脂質異常症,高血圧症を標的とした治療法が試みられている.NASH/NAFLDの治療は過体重に起因するインスリン抵抗性の是正を目的とした食事・運動療法が主体であるが,生活習慣の改善のみで効果が不十分な時には薬剤が選択される.しかしながら十分なエビデンスを有する薬物療法は確立していない.予後に関しては心血管系障害およびNASHからの肝細胞癌の発癌が問題となっている.
座談会
原著
  • 大津 健聖, 松井 敏幸, 西村 拓, 平井 郁仁, 池田 圭祐, 岩下 明徳, 頼岡 誠, 畠山 定宗, 帆足 俊男, 古賀 有希, 櫻井 ...
    2014 年 111 巻 1 号 p. 61-68
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/01/05
    ジャーナル フリー
    (背景)腸間膜静脈硬化症(以下MP)は比較的まれな大腸疾患である.その原因として,近年漢方薬との関連が注目されている.(対象と方法)本検討では,自験例と報告例を合わせた42例を対象に,MPと漢方薬の関連を検討した.(結果)自験例の約9割の症例に漢方薬内服歴を認めた.特に,加味逍遥散と黄連解毒湯が多数例で内服されていた.生薬成分では,大部分の症例が山梔子を含む漢方薬を内服していた.(考察)MP症例の多くは漢方薬の内服歴があり,MP発症後も漢方薬の継続内服により症状増悪をきたした症例が存在し,同じ漢方薬の長期内服を行った夫婦にMPを発症したことから,漢方薬成分山梔子がMP発症に強く関与すると推測した.
症例報告
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