日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
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総説
食道知覚と食道知覚過敏―そのメカニズムと臨床的意義―
三輪 洋人
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2014 年 111 巻 10 号 p. 1911-1922

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抄録
食道知覚は食道への刺激が侵害受容体および一次・二次知覚神経を介して中枢へと伝達されて生じる.これが病的に過敏となった食道知覚過敏は,非びらん性胃食道逆流症や機能性食道疾患における症状発生に大きな役割を果たしているが,その発生には粘膜の炎症やストレスが関与している.また,これまで胸やけ症状は傷害された食道粘膜内に胃酸がしみ込んで生じるという「しみこみ説」で説明されていたが,最近では酸が物理的にではなく食道上皮からの炎症性メディエーターの放出を介して症状をおこす可能性が論じられている.一方,明らかな逆流性食道炎があっても症状を示さない患者群の存在が注目されている.このように食道知覚・知覚過敏に関する研究は急速に進展している.
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© 2014 (一財) 日本消化器病学会
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