2017 年 114 巻 11 号 p. 1933-1938
消化管リンパ腫の診療に関する最近の知見を概説した.本邦の多施設追跡試験により,H. pylori除菌後の胃MALTリンパ腫の良好な長期予後が確認された(10年後全生存率95%,無イベント生存率86%).一方,H. pylori除菌療法は,H. pylori陰性MALTリンパ腫や胃diffuse large B-cell lymphoma(DLBCL)の一部にも有効である.最近,欧州で再燃/難治性MALTリンパ腫に対する高用量クラリスロマイシン単剤療法の有効性が報告され,本邦では,H. pylori陰性・除菌抵抗性消化管MALTリンパ腫を対象とした,同プロトコールによる多施設臨床試験が進行している.