2017 年 114 巻 2 号 p. 205-208
2006年にわれわれは,粘膜病変を有さない5cm以下の胃粘膜下腫瘍に対して腹腔鏡内視鏡合同手術(LECS)を開発し,現在まで125例を超える症例に安全に適応してきた.2014年には胃局所切除の亜型としてLECSが保険収載され,国内外に普及しつつあり,将来の発展が期待される.近年はInverted LECS,Closed LECS,Clean Net,NEWS,など,悪性腫瘍に対するLECS関連手技が開発され,粘膜病変を有する粘膜下腫瘍やリンパ節転移のリスクがない早期胃癌に対して臨床応用されている.将来的には,胃癌に対してLECSとセンチネルリンパ節生検の併用にも期待がかかり,定型的胃切除を施行されていた患者が,センチネルリンパ節生検が陰性であれば,LECSで原発巣だけ切除し,胃癌の手術後患者のQOL維持につながる可能性もある.また,超高齢者の胃癌手術への応用へも有用な術式となり得る.