日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
114 巻, 2 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
総説
  • 比企 直樹, 山本 頼正, 平澤 俊明
    2017 年 114 巻 2 号 p. 205-208
    発行日: 2017/02/05
    公開日: 2017/02/05
    ジャーナル フリー

    2006年にわれわれは,粘膜病変を有さない5cm以下の胃粘膜下腫瘍に対して腹腔鏡内視鏡合同手術(LECS)を開発し,現在まで125例を超える症例に安全に適応してきた.2014年には胃局所切除の亜型としてLECSが保険収載され,国内外に普及しつつあり,将来の発展が期待される.近年はInverted LECS,Closed LECS,Clean Net,NEWS,など,悪性腫瘍に対するLECS関連手技が開発され,粘膜病変を有する粘膜下腫瘍やリンパ節転移のリスクがない早期胃癌に対して臨床応用されている.将来的には,胃癌に対してLECSとセンチネルリンパ節生検の併用にも期待がかかり,定型的胃切除を施行されていた患者が,センチネルリンパ節生検が陰性であれば,LECSで原発巣だけ切除し,胃癌の手術後患者のQOL維持につながる可能性もある.また,超高齢者の胃癌手術への応用へも有用な術式となり得る.

今月のテーマ:腹腔鏡内視鏡合同手術
  • 後藤 修, 竹内 裕也, 矢作 直久
    2017 年 114 巻 2 号 p. 209-217
    発行日: 2017/02/05
    公開日: 2017/02/05
    ジャーナル フリー

    軟性内視鏡による管腔内治療の開発はESDの出現である程度の成熟期を迎えた.海外より提唱されたNOTESによって注目された内視鏡的全層切除は,ESDを生んだ本邦にてLECSという形で主に胃粘膜下腫瘍に対して安全に臨床応用されるに至った.LECSにおいて内視鏡医が担う重要な役割は正確な切除範囲の設定と内腔からの確実な病変切除であり,ESDで培ったテクニックを応用しつつ,LECS特有の内視鏡診断・治療技術を構築していく必要がある.LECSの適応をESD適応外上皮性腫瘍や他臓器病変にまで広げる試みも積極的になされており,内視鏡医が治療に介入する機会は今後ますます増えていくものと思われる.

  • 西﨑 正彦, 岡田 裕之, 藤原 俊義
    2017 年 114 巻 2 号 p. 218-223
    発行日: 2017/02/05
    公開日: 2017/02/05
    ジャーナル フリー

    胃粘膜下腫瘍の手術療法は,Hikiらの開発したLECS(laparoscopic endoscopic cooperative surgery)により必要最小限の胃部分切除を低侵襲手術として行うことが可能となった.主に5cm以下の管内発育型GIST(gastrointestinal stromal tumor)を標的病変とし,腹腔鏡外科医と内視鏡医が協調して手術を行う画期的な方法である.また,LECSの問題点である胃壁の開放による胃内容の流出や腹膜播種への危惧に対する術式も開発されてきている.本稿では外科医の立場よりLECSおよびその関連手技を解説する.

  • 上之園 芳一, 有上 貴明, 夏越 祥次
    2017 年 114 巻 2 号 p. 224-229
    発行日: 2017/02/05
    公開日: 2017/02/05
    ジャーナル フリー

    早期胃癌に対する腹腔鏡内視鏡合同手術の導入には,非上皮性腫瘍とは違い,腹膜播種が危惧される観点から胃壁の開放をしない術式が必要とされている.胃壁非開放式であるCLEAN-NETやNEWSは,早期胃癌に応用できる可能性のある手法として注目されている.当教室ではCLEAN-NETを,センチネルリンパ節診断に基づく縮小手術の胃局所切除手技として導入してきた.臨床統計学的に術前N0とされる対象に対してはESDの適応拡大が進んでおり,ESD適応外となる,さらに深達度の深い,あるいは未分化の早期胃癌に対する胃局所切除を,安全性を担保して進める上では,センチネルリンパ節転移診断が必須である.

原著
  • 梅田 智子, 芹澤 宏, 小林 拓, 豊永 貴彦, 齊藤 詠子, 中野 雅, 樋口 肇, 常松 令, 渡邊 憲明, 日比 紀文, 森永 正二 ...
    2017 年 114 巻 2 号 p. 230-237
    発行日: 2017/02/05
    公開日: 2017/02/05
    ジャーナル フリー

    腸管スピロヘータ症(HIS)55例(男性48例,女性7例)の診断や臨床経過に関するretrospective studyにより臨床的意義を検討した.多くが無症状で,大腸内視鏡下生検が契機となり,HE,PAS染色や抗TP抗体法で診断された.16例で除菌治療が行われmetronidazoleが有効であった.臨床的に特徴的所見はないが,内視鏡にて炎症所見を認めた場合や原因不明の慢性下痢などIBSが疑われる症例では本症を念頭に置くことが重要である.STDや免疫異常との関連も示唆される慢性感染症で,重症報告例もあることから有症状・内視鏡的有所見例や免疫異常の合併例では積極的治療も考慮すべきと考えられた.

症例報告
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