膵癌に対する化学療法は切除不能例に対する治療と切除の術後補助療法として行われる.切除不能例に対する治療では,まずオキサリプラチン+イリノテカン+フルオロウラシル+レボホリナートカルシウム(FOLFIRINOX)療法とゲムシタビン(GEM)+ナブパクリタキセル併用療法が第一選択であり,全身状態が良好かつ主要臓器機能が保たれている場合はどちらかを実施する.これらが難しい場合は,GEM単独,GEM+エルロチニブ併用,あるいはS-1単独から適切な治療を選択する.手術の補助療法としては術後補助療法が標準治療であり,S-1単独治療が第一選択となっている.今後,有効な2次治療の開発やバイオマーカーに基づく治療法の確立が望まれる.