2017 年 114 巻 6 号 p. 971-977
消化器癌,特に消化管の癌に対する内視鏡治療は,わが国で発展し,世界をリードしてきた.1980年代初頭にEMRが開発され,早期胃癌に対する内視鏡治療が一般的に行われるようになった.1990年代に入り,ESDが開発され,EMRとESDの割合は,食道癌で86%,胃癌で92%と,急速にESDが普及した.早期胃癌に占める内視鏡切除の割合は6割を超えるようになり,さらに展開が期待されている.ESDは,先人たちの努力の結晶を基盤に現在があること,また現況と今後の展望はどうあるべきかについて述べる.